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大切な家族を守るために:愛犬との防災対策

災害はいつどこで発生するか分かりません。家族の一員である愛犬の安全も守るためには日頃からの防災準備が大切です。愛犬が災害時にパニックにならないために、どのような避難行動が必要か、またどんな防災グッズを備えておくべきか、具体的な対策を考えておきましょう。この記事では、愛犬との避難準備のポイントを、ニチイ学館社員犬の元担当トレーナで、自身も10歳のALと暮らす岡野がご紹介します。

大切な家族を守るために:災害に備える準備と心構え

災害はいつ、どこで起きるか予測ができません。
しかし、大切な家族である愛犬を守るため、事前にできる備えはたくさんあります。
まずは、日常生活に防災意識を取り入れるところから始めてみましょう。

防災の基本は「自助と共助」

防災の基本は「自助と共助」
いざというとき、近隣コミュニティと連携し合うことでスムーズに避難できるよう、日頃から無駄吠えのないマナーある散歩や基本のしつけを行い、良好なご近所付き合いを心がけておきましょう。
また、外出中に災害が起きた場合でも、地域で愛犬の安否確認や救助をお願いできるよう、日常からコミュニケーションを取ることが大切です。
さらに、避難が長期化する事態も考え、緊急時には愛犬を預かってくれる場所を事前にリサーチしたり、親戚や友人、他エリアのALオーナーなど複数の一時預け先を探しておくと安心です。

災害に対する正しい心構えを持つ

災害への備えは、「正しく恐れてしっかりと備えること」から始まります。
防災用品の準備に加え、まずは【ハザードマップ】を確認し、自宅周辺の地震や水害リスクを把握しておきましょう。この情報をもとに、避難場所や備蓄品の置き場、愛犬のお留守番スペースの位置を検討することが重要です。

災害別の避難所の確認とペット受け入れについて

災害が起きたときに利用できる避難所やペット受け入れ可否も事前に調べておくことが大切です。
特に大型犬や多頭飼いの場合、受け入れが難しい避難所もあるため、愛犬と一緒に避難できる場所を把握しておくと安心です。
日頃から旅行や出張などで出かける際も、そのエリアの避難所や避難ルートを意識することを心がけましょう。
また、宿泊を伴う外出時は、フードなど愛犬の備えを2〜3日分多めに用意しておくと安心です。

以下から全国の避難所を検索できますのでぜひご活用ください。

大切な家族を守るために:知っておきたい同行避難と避難方法のポイント

同行避難と同伴避難の違い

まず知っておきたいのが、同行避難と同伴避難の違いです。

  • 同行避難
    飼い主と愛犬が一緒に避難行動を行うこと。
  • 同伴避難
    避難所内で飼い主と愛犬が同じ場所で過ごすこと。

自治体によっては同行避難は可能でも同伴避難が制限されることが多いため、事前に地域の避難所がペット受け入れ可能かを確認しましょう。

避難方法ごとの特徴

愛犬との避難する際の方法をご紹介します。
それぞれメリットデメリットを理解し、適切な避難方法を選択しましょう。

避難時の愛犬の過ごし方と事前準備

避難所では愛犬と同じ空間で過ごせない場合もあります。限られたスペースでペットを管理するため、積み重ね可能なハードクレート(プラスチック製)を用意しておきましょう。
また、クレート内で愛犬が安心できるよう、お気に入りのブランケットやバスタオルで覆い、おもちゃ(なるべく音の出ない静かなもの)を入れておくと安心感が増します。

普段からクレートや車内、テントで過ごす経験をさせ、避難時のストレスを少しでも軽減できるようにしておくとより安心です。

☆ポイント☆
車で逃げられないことを想定して準備することも重要です。
家に押しつぶされて車が使えない、道が崩れて車で逃げられない、車が水没してしまったなど、使えなくなる可能性は十分にあり得ます。
安全に確実に避難するためには様々なパターンの避難方法を考えておく必要があります。

大切な家族を守るために:避難時に備えた愛犬の迷子対策

災害時、愛犬がパニックで逃げ出してしまう可能性もあり、普段以上に迷子対策が重要です。
万が一に備え、避難時の迷子対策を整えておきましょう。

  1. 室内でも迷子札を装着する
    普段から首輪やハーネスに迷子札を装着し、室内にいる際も外さないことがポイントです。
    災害時にすぐ身元確認ができるよう、しっかりとした装着を心がけましょう。また迷子札が外れてしまうリスクに備えて、他の対策も併用しておくと安心です。
  2. 耳の裏に油性ペンで連絡先を書く
    迷子札が万が一外れた場合に備え、耳の裏に油性ペンで連絡先を書いておく方法も効果的。
    インクは徐々に薄れますが、災害直後などの非常時に一時的な対策として役立ちます。
  3. マイクロチップの確認と情報の更新
    マイクロチップ装着が義務化され、装着しているワンちゃんも増えていますが、非常時には役場の混雑などで照会が遅れる場合があります。マイクロチップ番号をメモした紙を事前に準備し、必要時にすぐ情報提供できるようにしておきましょう。
    また、所有者変更や引越し、電話番号の変更など、飼い主の情報変更があれば、マイクロチップ登録情報の更新も忘れずに行いましょう。

☆ポイント☆
事前に登録し、愛犬の保護情報を提供できる便利なサービスも検討してみましょう。特に持病やアレルギーのあるワンちゃんにはおすすめです。
ペットのおうち –
Pet Profile(ペットプロフ)

これらの備えにより、災害時にはぐれてしまった場合も少しでも早く愛犬と再会できる可能性が高まります。日頃から首輪やハーネスのサイズ調整も忘れずに行い、鑑札、狂犬病予防注射済票をしっかりと装着して準備を整えましょう。

大切な家族を守るために:日頃のトレーニングと緊急時のための備え

スムーズな避難や落ち着いた避難生活を過ごすには、日々のトレーニングがとても重要です。
いざという時、愛犬が安心して過ごせるよう、習慣づけておきたいトレーニングをご紹介します。

  1. クレートトレーニング
    避難所での生活を考えると、クレートに慣れておくことは非常に重要です。普段からクレートで落ち着いて過ごせるようにしておけば、災害時にもクレート内でリラックスしやすく、ストレスを軽減できます。
    また、留守中に地震が発生した際も、クレートが安全な待機場所になるため、愛犬を守る備えにもなります。
    もしクレートが無かった場合、段ボールを使用して犬用のスペースを作成する可能性もあるため、簡易な段ボールハウスで過ごす練習もしておくと安心です。
    クレートトレーニングについて詳しくはこちら
  2. 呼び戻し
    「おいで」や「来い」のコマンドで呼び戻しができることも命を守るための基本です。
    避難時、すぐに愛犬を呼び寄せられないと逃げ遅れの原因となるため、日頃からの呼び戻しのトレーニングが大切です。
    呼んだら必ず来るようにしっかりと練習しておきましょう。
  3. 静かに待てる練習
    避難所では、吠えが他の避難者に迷惑になることも多く、クレームやトラブルの元になります。普段から無駄吠えや要求吠えをさせないようにし、また飼い主から離れても静かに待てるようにしておくことで、人・犬共に避難所でのストレスを軽減できます。
    吠えのトレーニングについて詳しくはこちら
  4. 靴や服を履く練習
    災害時には道路にがれきやガラスが散乱していることがあり、愛犬の怪我を防ぐためにも靴に慣れておくと安心です。
    緊急時に靴を嫌がらないよう、普段から少しずつ靴を履く練習をしておきましょう。服も慣れておくと、防寒や怪我防止に役立ちます。
    靴の履き方について詳しくはこちら

☆ポイント☆
【緊急時の健康管理:万が一のためにできること】
緊急時は犬よりも人が優先されるため、愛犬が怪我をしてもすぐには見てもらえない場合もあります。応急処置ができるように、基本的な救護知識を学んでおくと安心です。
「愛玩動物救命士」や「ペットセーバー」といった資格で知識を深めるのも良いでしょう。また、愛犬用に消毒液やガーゼ、粘着包帯などを備えた救急セットも用意しておきましょう。

大切な家族を守るために犬と一緒に持ち出せる避難グッズリスト

必要な避難用品を分けて準備

避難に備えて、2~3日分の「緊急用バッグ」と長期用の「備蓄品」を分けて準備しておくと安心です。いざという時に身動きがとりやすいよう、人用はリュック、愛犬用はショルダーバッグに分けて持ち運べるようにしましょう。両手が自由になるため、避難経路で足元が見えやすく、安定した避難がしやすくなります。緊急用バッグには水やフード、おもちゃなど愛犬の必需品を入れ、玄関など持ち出しやすい場所に保管しましょう。また、長期用の備蓄品は浸水を避けられる2階などの安全な場所に置いておくとより安心です。

避難シミュレーションを行い、グッズの見直しを

家族と愛犬で避難シミュレーションを行い、避難経路の確認とともに、避難袋を持って避難が可能か実際に試してみましょう。
その後、避難袋の中身が必要なものかを確認し、必要に応じて調整を加えるとよりスムーズです。
時間があれば、半日から1日程度の屋外避難を想定し、愛犬と長時間過ごす練習をしておくと尚良いでしょう。

☆ポイント☆
避難時の荷物は、
女性で5kg、男性で8~10kgが目安です。
愛犬用と自分用の荷物を合わせてこの重さを目標に調整しましょう。

愛犬との避難に役立つ防災グッズリスト

緊急用バッグや長期備蓄品として用意しておきたいアイテムです。

  • 水(1週間分)
    災害時は水の復旧に時間がかかることが多いため、水の確保が最優先です。
    水道水は冷暗所で2~3日保存可能で、愛犬の体重に合わせた量を備蓄しましょう。
    犬が一日必要な水分量は1kgあたり40~60mlと言われています。
  • フードとおやつ(1週間分)
    普段のフードやおやつを用意し、ローリングストックで新鮮なものを備蓄しておきます。
    ストレスでうまく水分補給できない可能性もあるので、ウェットフードも用意しておくと安心です。
  • 日常品
    食器(ごはん・水用)、ブラシ、ブラッシングスプレー、ドライシャンプー、シャンプータオル、消臭スプレー、はさみ、常備薬(ノミダニ・フィラリア予防薬など)、救急セット、歯磨きグッズ、トイレットペーパー、ウェットシート、ペットシーツ
  • 身の回り用品
    リード・首輪、首輪用ライト、犬用靴、マナーウェア(おむつ)、ブランケットやタオル、クレート、消臭マナー袋、ガムテープと油性ペン、お気に入りのおもちゃ、係留ロープ
  • 写真
    トリミング後の綺麗な状態の写真だけでなく、汚れた状態や毛が伸びた状態のものや、特徴がわかりやすい写真を用意しておくと、迷子になった場合の捜索に役立ちます。また、愛犬と家族が一緒に写っている写真を用意しておくことも大切です。
  • 狂犬病、混合ワクチン接種証明書のコピー
  • マイクロチップ番号を記載した紙

☆ポイント☆
①【はさみを備えておくメリット】

被毛が柔らかく、長いALは汚れやすいため、はさみは忘れずに用意しましょう。
トリミングに行けない状況でも長さを調整したり、汚れた被毛をカットや毛玉ができた部分を取り除くなど、清潔さを保つことができます。

②【ペット緊急時カード】
災害に限らず、緊急時に自分がペットを飼育していることが伝わるよう、お財布の中にペット情報を記載したメモを入れておくと安心です。

大切な家族を守るために:防災グッズと愛犬の安全な居場所の確保

災害時に愛犬と共に安全に避難するには、防災グッズの保管場所や居場所の工夫が欠かせません。いざというときに備え、準備を万全に整えましょう。

  1. 防災グッズの保管場所
    すぐに持ち出せる「緊急バッグ」は、玄関や1階などの出入りしやすい場所に保管しておくと安心です。万が一浸水の恐れがある場合は、数日分の緊急物資を1階に置き、長期用の防災用品は2階に保管するのがおすすめです。ハザードマップを活用し、安全な場所に物資を備えておきましょう。
  2. お留守番中の浸水対策
    留守番中に災害が発生する可能性も考慮しましょう。浸水リスクがある地域では、愛犬は2階で留守番させる方が安心です。また、地震時の家具やテレビの転倒による怪我を防ぐためにも、クレートやサークルで安全な居場所を作っておくと安心です。
  3. 家具の固定も忘れずに
    災害時、家具や家電の転倒で愛犬が下敷きにならないよう、家具をしっかり固定しておきましょう。愛犬が慌てず過ごせるよう、安全な環境を整えておくことが大切です。
  4. すべての部屋にリードと首輪を準備!
    愛犬と過ごす各部屋にリードと首輪を常備しておくことをおすすめします。
    これにより、いざという時に「リードが見つからない!」「首輪がない!」と慌てることなく、迅速に避難行動がとれます。

大切な家族を守るために:犬の防災対策ガイドまとめ

愛犬との避難準備のポイントをご紹介いたしました。愛犬と一緒に災害時も安心して避難するためには、日頃からの備えが不可欠です。避難方法や迷子対策、持ち出すべきグッズの確認、また普段から避難のシミュレーションをしておくことで、いざというときにスムーズな避難ができます。
また、地域の避難所マップなども活用して避難場所の確認もしておきましょう。愛犬の安全を守るために、日常から少しずつ準備を進めておくことが、いざというときの大きな安心につながります。
各ご家庭の家族構成、愛犬のサイズや頭数により準備するものは大幅に変わると思います。
この記事を参考に、大切な家族を守れるよう備えましょう!
また、おすすめの避難グッズがあれば是非教えてください!

参考サイト
・人とペットの防災ガイドライン
・ハザードマップ
・Yahoo! 全国避難所マップ
・国土地理院指定緊急避難場所データ
・Pet Profile(ペットプロフ)

教えてくれた人(この記事の投稿者)

岡野

株式会社レイクウッズガーデン

ニチイ学館の社員犬【ビスケット・ルアー・バニー・オリーブ】の担当トレーナーでした。
自宅では歴代大型犬を飼育し、現在もオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)含む5頭と暮らしています。
休みの日は愛犬と海を散歩したりまったりしたり。
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