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大切な愛犬を守る!クレートトレーニングの必要性 

みなさんはクレートトレーニングという言葉を聞いたことがありますでしょうか? 

クレートとは、ワンちゃんが暮らす家のことでその家で過ごすことを教えるのがクレートトレーニングです。クレートは一見狭くて、ここに入れるなんて可哀想…と思う方もいるかもしれません。しかし、クレートはワンちゃんを守る大切な物なのです!!今回は、クレートの必要性とクレートトレーニング方法をオーストラリアン・ラブラドゥードル(ALを販売するレイクウッズラブラドゥードルズのトレーナーである阿久津さんと中野さんに聞いてきました。この記事はニチイ学館社員犬の元担当トレーナーで、自身も10歳のALと暮らす岡野が書いています。 

クレート利用のメリット4選

1.安心できる場所を提供し問題行動を防止する

クレートは一見狭いところにワンちゃんを閉じ込めてしまっている感じがして、可哀想に思えてしまうことも…

しかし、犬は元々、巣穴で過ごしていた生き物なので、暗く狭い場所を好みます。
犬の習性から考えると、クレートは安心して リラックスできる大切な場所と言えます。

逆に、クレートやサークルがない完全フリーの生活は、気になる音などが増えることにより警戒範囲が広がる為、気を張った状態になりやすくなります。

また、夜間も音に敏感になることによってこまめに目が覚め、熟睡できない事により問題行動を引き起こしやすい原因にもなることもあります。クレートという遮られた安心できる場所を確保することにより、しっかりとした休息がとれる事で、ストレスも軽減し問題行動の減少にも繋がります。

2.飼い主との信頼構築

クレートに慣れるということは、飼い主がいつでも安心できる場所を提供してくれるという、飼い主への信頼にも繋がります。

仔犬の頃からクレートに慣れていないと、成犬になってもクレートに入る事ができず、安全で安らげる場所がない状態で過ごさなくてはなりません。
成犬になるにつれて警戒心が強まり、クレートに入れなくなってしまうので、仔犬のうちからクレートに入る事、クレートの安心感や心地よさを教えてあげる必要があります。

3.災害発生時の避難がスムーズになる

室内の生活では就寝時にクレートに入れることにより、地震などの災害時に落下物から犬を守ることが出来るのも大きなメリットです。

また、災害時に避難所に犬連れで避難するにはクレートに慣れていなければ避難所に入れないケースも考えられます。防災対策としてもクレートは重要な役割をはたします。

4.旅行や車での移動時に安全性を高めることができる

クレートは簡単に持ち運べる為、クレートが安心できる場所だと認識できると、いつでもどこでも愛犬の心が安らぐ場所作ってあげることができるようになります。

車などの移動時に慣れている安心できる場所 (クレート)に入る事で、移動に対して興奮することや、移動のストレスを大幅に軽減することができます。

オフ会やお友達とのお出かけが多いALオーナーの方も多いと思いますが、クレートに慣れていれば、車でのお出かけの際もスムーズに乗せることができ、愛犬の安全も守ることが出来るので、普段からクレートを利用することを是非ともおすすめします。

クレートの選び方

1.ハードクレートとソフトクレート

クレートには『ハードクレート』と『ソフトクレート』があります。

『ハードクレート』→頑丈なプラスチック製のもの。

引用元:リッチェル

『ソフトクレート』→布製で軽く、折り畳めるなど取り扱いも楽。

引用元:リッチェル

おすすめは、成長後も長く使用できる『ハードクレート』です。

ソフトクレートは持ち運びやすいなどメリットもありますが、壊れやすいので噛んで壊してしまう可能性があります。
また、底が安定していないので移動には不向きです。

2.理想的なサイズ

理想的なサイズ感は犬がクレート内で方向転換でき、天井に頭がつかない(頭が下がった状態にならない)サイズです。

就寝時や留守番など長時間の休憩に使用する場合は、無理なく伏せられる幅と奥行きが必要となります。

仔犬の時にクレートを用意される方が多いと思いますが、仔犬の時から成犬用サイズを使用してもOKです!
むしろ、体に対して小さすぎるクレートだと警戒してしまい、「クレート=怖いもの」となってしまいます。

天井に頭がぶつからず、ちょうど良いサイズ。
天井に頭がぶつかってしまい、頭が下がった状態。

クレートの設置場所などはこちらの記事をご覧ください。

クレートトレーニングの方法

1.クレートへの出入りトレーニング手順

まずは、クレートに自分でスムーズに入ってもらえるトレーニングをしていきます。

①最初はお気に入りのおもちゃで一緒に遊びましょう!

②楽しんできたら、クレートの中におもちゃを投げ入れます

③おもちゃを追って、クレートの中に入れたらOK! 入れた段階でたくさん褒めます。

④第一段階のトレーニングなので、すぐに出てきてしまっても問題ありません。

【ワンポイント】

☆警戒して全く入らない場合は、クレートの手前におもちゃやおやつを置き、置き場所を徐々に奥にしていきます。

☆警戒している場合、後ろ足をクレートに入れない事がありますが、押し込むなど無理やり入れないようにしましょう。自分で入る事が大切なので、おもちゃやおやつをうまく使って誘導しましょう。

☆上(屋根)が簡単に外れるタイプのクレートであれば、はじめは上部を取り外した状態からトレーニングをすると良いでしょう。

2.ドアを閉めてクレートの中で過ごすトレーニング手順

①1でご紹介した、出入りの練習で後ろ足まで自分で入れるようになったら、今度は一定時間クレートの中で過ごせるようにしていきましょう。扉は閉めたら3秒程度ですぐに開けます。

こうする事でクレートに入ってもすぐに出られる事を教え、閉じ込められるから入りたくないという気持ちをなくしていきます。

扉は犬がクレートに入ったあと、中で回って正面を向いてから閉めましょう。
後ろを向いている時に扉を閉めると、閉じ込められたと思ってしまう可能性があるので、出来れば正面を向いたときに扉を閉めます。

②はじめは無理に頑張らせず、仔犬が不安がる前に出してあげることが大切です。
3秒程度からで大丈夫です。

③3秒入る練習を5秒、10秒、20秒…と徐々に扉を開けるまでの時間を延ばしていきます。

この時、仔犬が騒ぐなど、出してほしいと何らかの”要求行動を起こす前”に必ず扉を開けてあげる事がポイントです。
要求行動を起こしてから開けてしまうと、暴れれば出してくれるんだ!と誤ったことを覚えてしまいます。暴れた場合はタオルをかけるなどで刺激を減らし、落ち着くまで待ってから開けるようにしましょう。

④扉を閉めたら10秒毎にクレートの隙間からおやつやフードを入れてあげ、クレートの中にいると良い事が起こると認識させます。

⑤少しずつ長く入っていられるようになったら、おやつやフードを入れる間隔も伸ばしていきます。

⑥クレートに数分間安心して入っていられるようになったら、ごはんをクレート内で与えるようにしてみましょう。

【ワンポイント】

☆おやつやフードを入れる時は、極力飼い主が入れている事がわからないようにしてあげ、仔犬からすると「中に入っているとおやつがたくさん降ってくる家」のような感覚を与え、できるだけ長く入っていたい、自ら望んで入りたい、出たくないと言ったポジティブなイメージを植え付けるようにします。

☆5分程度、おとなしく入っていられるようになったら、クレートに入れている間に、飼い主が別の部屋に行くなどしてみましょう。はじめは数秒からスタートし、仔犬がなんらかの要求行動を起こす前に必ず戻って褒めてあげることが大切です。

3.指示でクレートに入る

①クレートに慣れてきたら、合図を出してクレートに入れるようにします。

②「ハウス」と声をかけると同時におもちゃやおやつをクレートの奥へ投げ入れる事を繰り返します。

③仔犬が先読みして、おもちゃやおやつを投げ入れなくても出入りを繰り返すようになったら、「ハウス」と言っておもちゃやおやつを投げ入れるふりをします。

④クレートの中に入れたら飼い主の手からおやつを与え、良く褒めましょう。

⑤何度も繰り返したら、「ハウス」と言ってクレートを指さし、入れたら飼い主からおやつを与え良く褒めます。

コマンドだけでなく、指差しをすることにより、よりわかりやすくなります。

⑥慣れてきたら2のトレーニングと併用し、 ハウスコマンドでクレートインさせて扉を閉め、数秒~数分間クレート待機。要求を出す前に開けてあげ褒めましょう。

⑦完全にハウスコマンドでクレートインできるようになったら、徐々に離れた場所からのハウスを実践します。この時、犬とクレートの距離は一気に離すのではなく、徐々に離していくと失敗のリスクが下がります。

4.クレート内で留守番、休憩、お昼寝をさせる

クレート内で静かにしている時に、時折フードやおやつを入れてあげます。

フードやおやつは、飼い主がおやつを入れた事がわからないように与える事で、飼い主がいない状態でも安心して落ち着いてすごせる事を 学習できるようになります。

留守番・休憩時はタオルをかけてあげると、 刺激が減りより落ち着けるのでおすすめです。

フードやおやつを与える際は、横の隙間から入れると、飼い主がおやつを入れた事がわかりにくくなります。

【ワンポイント】

☆生後半年頃まではトイレの回数が多く、我慢できる時間が短いので長時間入れておくのは控えましょう。仔犬の頃のお留守番は、トイレの設置してあるサークルと扉を外したクレートを併用すると良いです。

クレートトレーニングで気を付けたいこと

最後にクレートの利用方法として、飼い主さんがよくやってしまいがちな、ポイントを2つご紹介します。

クレートを罰として使わない!

クレートは楽しい場所として覚えてもらわなければなりません。
なので、叱った後にクレートに閉じ込めたりなどをしてしまうと、嫌な場所=入りたくないとなってしまいます。

クレートから出した時に褒めない!

お利口にクレートで待てたら、出した時にたくさん褒めたくなりますよね。
外に出た時に褒めてしまうと、クレートで待てたことを褒められたのではなく、外に出たことを褒められたと勘違いしてしまう可能性があります。

クレートトレーニング まとめ

今回はクレートトレーニングの必要性とそのトレーニング方法をご紹介しました。

クレートを安心できる家と認識させてあげれば、どこに行っても落ち着いていられるようになります。

クレートは安心できて楽しい素敵な場所!と愛犬に思ってもらえるように楽しくトレーニングをすることが大切で、悪いことをしたら閉じ込める罰としての使い方は絶対にしないように気を付けましょう。

クレートトレーニングは、防災対策としてもとても有効なので、是非とも取り入れてみてください!

教えてくれた人(この記事の投稿者)

岡野

株式会社レイクウッズガーデン

ニチイ学館の社員犬【ビスケット・ルアー・バニー・オリーブ】の担当トレーナーでした。
自宅では歴代大型犬を飼育し、現在もオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)含む5頭と暮らしています。
休みの日は愛犬と海を散歩したりまったりしたり。
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