お家のオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)が何かというと吠えてばかり。吠え癖がついてしまった子にお悩みではありませんか?まず、愛犬は何故、吠えてしまうのか考えたことはありますか?「何故?」を理解しないと根本的な解決にはなりません。そこで、本記事では、吠える理由を掘り下げた上で、吠え癖改善のためのトレーニング方法をご紹介します。この記事を読めば、無駄吠え解決の糸口が見つかるはず!お家の子に合った対処法をみつけてワンちゃんマナーのレベルアップを目指しましょう!本記事はALを販売するレイクウッズラブラドゥードルズで、トレーナーを務める阿久津がご紹介します。記事を通して、ALちゃんのライフサポートができましたら幸いです。
Contents
オーストラリアン・ラブラドゥードルのしつけ|何故、犬は吠えるのか?
ワンちゃん達は何故、吠えるのでしょうか。
そもそも、ワンちゃんは、威嚇する、居場所を伝える、など、意思表示のひとつとして「吠える」という行動をします。ワンちゃんにとって「吠える」ということは当たり前の行動であり、「やってはいけない行動」とは思ってもいません。
しかしワンちゃんが人と共存する中で、「吠える」という行動は、周りの方に迷惑をかけてしまうため、飼い主さんの悩みにつながります。また、飼い主さんからたくさん愛情を受けたいのに、吠えるたびに怒られてしまうのは、ワンちゃんにとってもストレスです。
飼い主さんは『吠えないようにするしつけが必要』と考えていると思いますが、実は、飼い主さんのちょっとした行動が原因で吠え癖がついてしまっていることが多いです。
「吠え癖がつく」理由は明確です。「吠えることで、自分にとっての利益を得た」という経験をしたためなのです。「吠えればいいことがある」という体験が吠え癖につながっていくのです。ワンちゃんにとって、吠えることは、意思表示をするための行動ですが、同時に、自分の利益を得るために吠えている、とも言えるのです。
次項ではさらに細かくワンちゃんの行動を考えていきましょう。
オーストラリアン・ラブラドゥードルのしつけ|吠えることで得られるもの
では、「自分の利益のために吠える」とは具体的にどういうことでしょうか。
大きく分けて、ワンちゃんが得る利益は2つあります。1つめは吠えることで嫌なものを排除できること。2つめは、吠えることで得をすること、欲求がかなうことです。
利益 1. 嫌なものを排除することができる
例えば、お散歩の最中に、ワンちゃんの目の前を大きなネズミが横切ったとしましょう。そこでワンちゃんは吠え始めます。最初は、得体の知れないものに対しての怖さから相手を威嚇するために吠えたのかもしれません。けれども、ネズミは吠えられて一目散に逃げていきました。ここでワンちゃん達はこのように学びます。「自分が吠えたことでネズミが逃げていった。」得体の知れないもの、怖いものが消えるというのは、恐怖からの解放となり自分の利益になります。インターホンの音も配達員さんも同じです。吠えることで音が消えたり、配達員さんがいなくなったりしたのだと勘違いします。
利益 2. 欲しいものが手に入るなど、欲求がかなう
ワンちゃんが、自分の欲求をかなえるために吠える、欲求吠えが多くの飼い主さんを悩ませています。しかし、ズバリ言ってしまうとその原因をつくったのは飼い主さん自身なのです。サークルやクレートに入れると、出して欲しいからワンワン吠える。飼い主さんは、うるさいからつい出してしまう。こうすることで、「吠えたことで欲求が通った」と学びます。そうするとどうなるか?最初はサークルの中に入ると吠えていただけが「おやつがほしい」「抱っこしてほしい」「遊んでほしい」など、何か欲求があるたびに吠えるようになります。すなわち「吠え癖」につながっていくのです。
その他にも、ワンちゃんが吠えた時に、なだめるつもりで、ついつい優しく声をかけ撫でてしまう飼い主さんは多いのではないでしょうか。けれども、これはワンちゃんにとって 「吠えたら褒めてもらえた」という利益になります。静かにしてほしくておやつをあげてしまう飼い主さんもいるかもしれません。それでは、吠えればおやつがもらえるのだと間違って覚えてしまいます。
心当たりはありませんか?
ワンちゃん達は、ご家族さんのことが大好きだからこそ、表情や声、行動をよく見ています。聞いています。特にALは他犬種に比べ、頭がよく観察力もあるので、ちょっとしたことですぐに「何をしたらこうなった」と、関連づけて学びます。
だからこそ、ご家族さんで一貫して正しい対応を徹底すれば、「吠えない」という行動を比較的早く覚えてくれる点も、ALの賢いところでもあります。飼い主さんご家族の強い気持ちがあれば、教えられない、直せないものはありません。
もちろん、吠え癖がついてしまってからでは、直すまでに時間も労力もかかりますが、本気で直したいのであれば決して遅いことはありません。ワンちゃんが、ご家族さんからだけでなく、周りの方から愛されるためにも、今からワンちゃんに合った方法をみつけて、トレーニングしていきましょう。
オーストラリアン・ラブラドゥードルのしつけ|吠え癖改善トレーニング
吠え癖改善トレーニングの“考え方”はいたって簡単です。
「利益を得る行動を変えるだけ!」なのです。つまり、「吠えたら利益が得られた」という行動体験を、「吠えるのをやめたらご褒美がもらえた、褒められた」という行動体験に変えるのです。
例えば、お散歩中に他の犬や他の人に対して吠えてしまうときはこうしてください。
- いつもよりリードを短く持つ。
- おやつやおもちゃなど、愛犬の気をひくものでこちらに意識を向けさせる。
- 次にお座りをさせて、アイコンタクトする。
- 目が合ったら、ご褒美をあげる。
つまり、目が合ったら、「吠えるのをやめて、飼い主さんの方に意識を向けたこと」に対して、ご褒美をあげるのです。
そしてお座りなどの行動をコントロールしやすくするためにも、首輪をつけリードを短く持つことは、行動範囲を狭め、こちらに意識を向けやすくなります。
撫でて欲しいときや遊びたくて吠えている場合も同様です。お座りをしてアイコンタクトがとれたら、「吠えていない」タイミングで、おもちゃを与えたり、撫でたりするようにしましょう。
この時のポイントは、以下の通りです。
- 言葉はただのBGMになってしまうので、愛犬の名前や「おすわり」などの指示を連呼しない。
- 飼い主さんに意識がいくように、しゃがんで目を合わせる。
- 愛犬の意識が飼い主さんに向いている間はずっと大げさに褒め続ける。
- 吠えるのをやめさせるのが難しい場合は、飼い主さんが吠える対象に対して壁になる。
- そして1番大事なのは飼い主さんがいち早く対象物に対して気づき対応をすること、「吠える」という行動をさせないことです。
そのためには、愛犬が何に対して、どんな時に吠えているのかを知っておく必要があります。男の人に対して、制服を着ている人に対して、大型のトラックに対してなど、吠える対象やタイミングで何か共通点がないか改めて観察してみましょう。
吠えてしまった場合は、愛犬の身体には触れずに、声もかけないでください。
“リードを短く持ち、壁になる”これだけを意識し、音やおやつなどで、アイコンタクトがとれるよう誘導してください。そこで吠え止んだ場合はすかさず褒めてください! いいですか、“すかさず“です。
オーストラリアン・ラブラドゥードルのしつけ|配達員さんのインターホンへの吠え癖改善
吠え癖を改善するためのトレーニングの基本はご説明のとおりですが、多くの方がお困りの“配達員さんがインターホンを鳴らすと吠えてしまう癖”の改善方法をご紹介します。
例えば「おすわり」いう言葉と「おすわり」という行動のセットを教えるときは、「おすわり」の指示➙「おすわり」という行動への誘導➙「おすわり」をしたら褒める。これを繰り返します。そうすることで、「おすわり」という指示の言葉が聞こえたら座る、というセットを覚え、誘導せず座ってくれるようになります。
つまり、「おすわり」という言葉とその行動を覚えるのです。犬は予測能力に優れているため合図や音と行動を関連づけて覚えることができます。このトレーニングの基本は「指示の言葉」と「すべき行動」をセットで覚えさせることです。
同じ原理で、配達員さんがインターホンを鳴らした時、「ハウス」「おいで」などの指示をして、指示のとおり行動できたらご褒美をあげるのです。インターホンが鳴る➙「ハウス」の指示➙ハウスに入ったら褒める。これを繰り返します。そうすることで、インターホンが鳴ったら吠えるのではなく、インターホンが鳴ると、ハウスに入るようになります。
もし可能であれば、配達員さんにおやつを与えていただくなどするとより効果的です。しかし、怪我などを負わせてしまうのではないかと心配な場合は触れ合わせるのは控えましょう。
配達員さんに吠えてしまう場合は、そもそも配達員さんが姿を見せないようにするのもひとつの方法です。そのためには、インターホンの音が鳴ったら「ハウス」などの指示をすることと、「ハウスに入る」という行動の関連づけができるようにしておくことが重要です。
また、「ハウス=落ちつく場所」にしておくことも大切です。そのためには、ハウスのなかでごはんを食べさせたり、夜はハウスで寝かせたりするなど、ハウスにいいイメージをつくることも必要です。
このトレーニングのポイントは以下の3つです。
- 吠えているときにはご褒美をあげないこと
- 普段から吠えていないときにたくさん褒める
- 普段から練習をしておく
オーストラリアン・ラブラドゥードルのしつけ|行動の強化|すかさず!ちょっとでも!何に対しても褒める!を繰り返す
吠え癖改善トレーニングでとても重要なことは、普段から「常に褒めること」です。普段から、目が合った時や吠えていない時にどれだけ褒めているか振り返ってみてください。
ただ単に、吠えた時にアイコンタクトをさせるだけだと、なかなか「吠えるのをやめてアイコンタクトを取る」という行動を認識させるのは難しいです。
吠える前後はやはり興奮状態にあります。そんな時に、飼い主さんのことを一瞬でも見たり、指示を聞いたりすることができるようにするために、まずは普段のリラックス状態で、「吠えるのをやめてアイコンタクトを取る」という行動を誘発させる必要があります。
最初は、室内や住宅街の静かな場所で、吠えるのをやめてアイコンタクトを取るという行動の練習をしていきましょう。
また、日頃褒めるタイミングはいくらでもあります。
- 遊び疲れて自分からハウスに入ったとき
- 一緒にリラックスしているとき
- 一緒に遊んで欲しくて目が合ったとき
- 無言で後ろを付いて来たとき
- おもちゃで1人遊びしているとき
- ごはんを食べているとき
吠えていなければ、目が合っていれば、どんな時、どんな理由でもいいのです。褒めたり、声をかけたり、撫でたりしてあげてください。普段から常に褒めておくことで 「吠えなければいいことがある」 とも学びます。
吠え癖改善トレーニングのために、飼い主さんが忘れてはならないポイントは以下の4つです。
- 一瞬でもできたらすかさずに褒める
- 2. ちょっとした進歩を見過ごさない
- 3. 常に褒めることを意識する
- 4. わかりやすくオーバーに褒める
最初は難易度レベルを低くしてください。
吠え癖がついてしまっているのに、しばらくの間静かになったら褒める、というのはかなりレベルが高いです。まずは吠え止んだ『瞬間』を褒めてあげる。この一瞬を絶対に逃さないでください。そしてまた吠えたら、褒めたり、触ったり、声をかけたりするのをやめる。
吠えない行動が出た瞬間に必ず褒めるのです。「吠えない行動」とは、吠えたくなる対象を前にしても、「吠えずに何もしない」「飼い主さんと目を合わせる」という行動です。
リラックス状態で、ある程度吠えるのをやめてアイコンタクトを取れるようになったら、難易度レベルを上げ、少しずつ人や車通りのあるところでやってみてください。
音に対して吠えてしまう場合も、信頼している飼い主さんと目が合うということが、落ち着くことや安堵することに繋がり、興奮を抑えられるため、吠え予防につながります。
完璧を目指して慌てるのではなく、せかさず着実に、コツコツと繰り返していくことが大切です。
吠え癖改善トレーニング まとめ
吠え癖改善のためのトレーニング方法をご紹介しました。
「吠えないという行動」を教えるために、必要なことは、以下のポイント2つです。
- 吠えるのをやめてアイコンタクトをとる練習を重ねる。
- 良い行動には何に対しても褒めて、良い行動が起きる回数を増やしていく。
ALは人懐っこさも性格の特徴のひとつです。人が大好きだからこそ、飼い主さんと密になれるため、トレーニングを楽しんでくれる子が多いです。また、普段の「褒めてもらう」ということは、人好きのALにはとびっきりのご褒美になり、覚えも早くなります。
吠え癖を『直す』ということが最終ゴールですが、1日2日トレーニングをしたからといってすぐに吠え癖が直ったり、回数が激減したりするものではありません。
徐々に吠え行動を抑えていくということを念頭に、日々タイミングを逃さず、褒めてあげてください。そして褒めるときは、オーバーリアクションで行いましょう。
飼い主さんが愛犬のマナーに気をつけることで、愛犬にとって過ごしやすい環境をつくることができます。そしてそれは、愛犬を守ることになると、私は考えています。
まだ吠え癖がついていないうちの吠え癖予防についての記事はこちら☟
※ニチイ学館の犬の繁殖・販売事業、グルーミング事業は、2024年3月1日を以て、レイクウッズガーデンへ承継されました。