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【獣医師監修】ワンちゃんの咳風邪 ケンネルコフの症状と治療法について

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ワンちゃんも人と同じように咳をしたり、鼻水がでたりと風邪の症状が出ることがあります。特に迎えたばかりの仔犬が咳をしていたらとても心配になりますね。仔犬によくみられる咳の疾患は、ケンネルコフ(犬伝染性鼻気管気管支炎)である場合がとても多いです。そこで、今回は、ワンちゃんが咳をしていたらどうしたらよいか?ケンネルコフの症状と診断、治療法や予防法についてご紹介します。是非、参考になさってください。この記事は、ニチイグループのAL事業立ち上げ当初から10年以上、健康管理等、ALにトータルに関わる獣医師が書いています。

ワンちゃんの咳風邪 ケンネルコフとは?

ケンネルコフとはケンネル(犬舎)+コフ(咳)という単語でできている通り、犬がたくさん集まる場所で発症しやすい咳風邪のことで「犬伝染性鼻気管気管支炎」ともいいます。

罹患率は高いですが死亡率は低い、日常的に発症する犬の上部気道感染症で、保育園や小学校で冬場に風邪が蔓延するのと同様、特に免疫力の低い仔犬において集団感染することが多い疾患です。

また、成犬では感染しても無症状で経過することが多くなりますが、仔犬の他、免疫力の落ちたシニア犬にも発症する場合があります。

弊社でも多数の仔犬が集まる犬舎では、複数の対策を講じていても、完全には防ぎきれず発症がする場合があります。

ワンちゃんの咳風邪 ケンネルコフを引き起こすもの

ケンネルコフを起こす病原体は多数あり、ボルデテラ(Bordetella bronchiseptica)という細菌や、犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルス、犬ヘルペスウイルス等複数のウイルスが関与しています。これらの病原体が接触感染することで感染します。

そのため、ドッグランや犬の幼稚園等、犬同士が直接もしくは間接的に触れあう場所にケンネルコフに感染している犬がいる場合には広がる可能性があります。

しかし、ケンネルコフにかかりやすい2~4か月齢の仔犬の時期は、人との関わりだけでなく、犬同士のルールを学ぶ必要のある大切な社会化期にも当たります。

弊社でも、兄弟や同じくらいの年頃の仔犬達との交流を大切に過ごさせています。そのため、お渡しの時に症状がない仔犬ちゃんも、おうちに行ってから、潜伏期間を経てケンネルコフが発症することがあるのです。

ワンちゃんの咳風邪 ケンネルコフの症状と診断について

では、どんな症状が見られたらケンネルコフを疑うべきでしょうか?

ケンネルコフの症状

症状としては、発咳や鼻汁、くしゃみ、咳に伴う吐き出し(嘔吐のようなしぐさ)、鼻を鳴らしながら吸い込むような発作にいたるまで様々な呼吸器症状がみられ、運動や咽頭・気道周りの圧迫により症状が誘発されることもあります。

また、重症化すると肺炎を併発し、浅くて速い呼吸や息苦しさ、頻繁な発咳や元気消失、食欲不振がみられるようになります。

症状の激しさは病原体の種類や複合感染、その犬の免疫状態によっても左右されます。

これらの症状が見られたらケンネルコフの疑いがありますので、すぐに動物病院を受診しましょう

ケンネルコフの診断

咳の原因が他の疾患である可能性を排除した上で、年齢や症状発症に至る背景を考慮してケンネルコフと診断します。

鼻や口腔咽頭部や気道の粘液を採取してウイルスや細菌などの病原体をPCR検査にて特定して確定診断とします。

病院によっては、病原体の特定はせずに治療を始める場合もありますが、治療薬の効果が芳しくない場合には、病原体を特定した上で、効果のある抗生剤を特定することを推奨します。

ワンちゃんの咳風邪 ケンネルコフ治療法

ケンネルコフは、積極的な治療をしなくても2~3週間で治癒する場合が多いですが、悪化した場合には肺炎を引き起こして長期化する場合もあります。症状を確認しながら適切な投薬をすることが大切です。

治療には、抗生剤の他に症状に合わせて痰を鎮める去痰薬や粘液溶解剤、消炎剤等も使用します。ネブライザーによる蒸気吸入も補助療法として有効です。

また、療養中にご家庭でできることは、室温(24度前後)と湿度(50%程度)の管理です。また運動により症状が悪化することもありますので、治療中は安静にして過ごさせましょう。

ワンちゃんの咳風邪 ケンネルコフの予防法

では、ケンネルコフにかかってしまう前にできることは?ワクチン接種や環境への配慮が主な対処法となります。

ワクチン接種

弊社では仔犬に対して全頭にケンネルコフに特化した3種混合点鼻ワクチンの接種を実施しています。発症自体を完全に防ぐことはできませんが、症状が軽症で済んだり、早期に治癒したりする可能性が高くなります。

環境への注意

おうちに新しく仔犬を迎えた場合には、環境の変化によって、免疫状態が低下し、潜伏期間を経てケンネルコフを発症する場合もあります。湿度や温度管理、換気に注意して飼育を始めましょう。

また不顕性感染(症状がでていない感染)している成犬や他の仔犬からケンネルコフをもらってしまう可能性もあります。

特にドッグランや犬の幼稚園等、他の犬と接触する機会が多い場所では、同じおもちゃで遊ばない、同じ器で飲食をしない等の間接的な感染に注意していても、犬は口を使って遊ぶことも多く、感染を避けることは難しくなります。

数日経ってから症状が現れることも多いため、咳等を確認した場合には早めに動物病院を受診し診断を受けましょう。

ケンネルコフの症状と治療法 まとめ

今回はワンちゃんの咳疾患、ケンネルコフについてご紹介いたしました。

特に冬場は空気も乾燥し、ウイルスの活動も活発になります。ワンちゃんが少しでも咳をしていたら要注意。仔犬ちゃん達が元気に過ごせるよう体調管理には気をつけてあげましょう。

教えてくれた人(この記事の投稿者)

関根 彰子

獣医師

ニチイグループでAL事業を立ち上げた初期から、10年以上ALに関わっている獣医師。
繁殖に関わる親犬や生まれてきた子犬達の健康管理、ALのブリーディングについての助言や調査等トータルに関わっており、ALについての多くの把握している獣医師です。

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