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オーストラリアン・ラブラドゥードルはどんな犬種?先祖犬から見る

今人気のオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)ってどんな犬種か知っていますか?見た目のふわふわ、もこもこに隠された先祖犬の秘密に迫ります。 この記事は、ニチイグループのAL事業立ち上げ当初から10年以上、健康管理等、ALにトータルに関わる獣医師が書いています。

オーストラリアン・ラブラドゥードルの先祖犬はどんな犬?

ふわふわ、もこもこだけれど毛が抜けにくく、アレルギーフレンドリー。人懐っこくて頭がいい。

そんなオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を生み出すために、選ばれた犬種での交配と改良が積み重ねられました。AL誕生初期に利用された先祖犬は以下の6犬種です。

【ALの開発時に初期に利用された先祖犬は6犬種】

  1. ラブラドール・レトリバー
  2. プードル
  3. アイリッシュ・ウォータースパニエル
  4. カーリー・コーテッドレトリバー
  5. イングリッシュ・コッカースパニエル
  6. アメリカン・コッカースパニエル

その後、改良が重ねられ、現在ではオーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALA) (※) のグレーディングスキーム(ブリーディングにおける交配犬種及び世代の規則)により①②⑤⑥のみが規定されています。

※オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALA):ALを生んだ本国オーストラリアの団体。ALの犬種としての保全、繁殖に関する管理指導を行う。

今回は、何故、ALを生み出すために、これらの犬種が利用されたのかを、これらの犬種の特徴から考え、ALの特性について理解を深めたいと思います。

オーストラリアン・ラブラドゥードル先祖犬の特徴

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を生み出すために、何故これらの先祖犬が選ばれたのでしょうか?実は、それぞれの先祖犬が以下のような性質・特質を持っていたためです。

ラブラドール・レトリバー

ラブラドール・レトリバーは温和、社交的、従順な性質で、水鳥などの獲物を傷つけずに回収する狩猟犬として繁殖されてきました。そのため、泳ぎが得意で物を持って帰ってくる(レトリーブする)ことが大好きです。非常に落ち着いた性格で、あらゆる年代の人や動物に対しても友好的で、労働意欲も高くポジティブなことから、さまざまな使役犬(介助犬や盲動犬など人のために働く犬)として活躍しています。

プードル

プードルは泳ぎが得意で、鴨猟の回収犬(打ち落とした鴨を回収する犬)として繁殖された歴史があります。その後、愛玩犬として様々なサイズや毛色が開発されました。巻き毛のシングルコートで被毛が抜けにくいという特徴があり、利口で活発、活動的な性格です。オーストラリアン・ラブラドゥードルの繁殖用にはスタンダード・プードル(体高45~60cm)ミディアム・プードル(体高35~45cm)ミニチュア・プードル(体高28~35cm)そしてトイ・プードル(体高~28㎝)のサイズが承認されています。

アイリッシュ・ウォータースパニエル

プードルとラブラドール・レトリバーの次に使用されたのは、アイリッシュ・ウォータースパニエルです。水鳥を追う犬として利用されていたため、泳ぎは大の得意です。活発で賢く、忠実な性格ですが、他人には警戒心が強い性格です。被毛はきついカールで、マズル(鼻先から口)と尾の被毛が短いという特徴があります。豊かなチョコレート色を作り出すために利用されましたが、現在はブリーディングスキームには含まれません。

カーリーコーテッドレトリバー

次に使用されたのはカーリーコーテッドレトリバーですが、こちらはラブラドール・レトリバーのポジティブな性格を取り戻すために利用されました。きつい巻き毛の風貌で、イギリスでは狩猟犬として活躍していました。理解力と落ち着きがあり、自立心の高い性格です。ラブラドール・レトリバーとしての特性を取り戻した反面、オーストラリアン・ラブラドゥードルでは「オープンフェイス」として知られるマズルの被毛が短いという特徴や、自立心からくるよそよそしさも引き継いだことから、現在はブリーディングスキームには含まれません。

コッカースパニエル

最後に利用された犬種がイングリッシュおよびアメリカン・コッカースパニエルです。 コッカースパニエルは、視力と走力で追跡する猟犬として活躍していました。しっかりとした太さのある肢でスピード感と耐久力を兼ね備え、活動的で穏やかな性格です。毛色もバラエティーに富んでおり、パーティーカラーやタンポイント(眉毛部分に色が入る模様)のカラーも含まれており、ALの骨格やパーティーカラー等の毛色に影響を与えています。

※シングルコート・ダブルコートとは?:被毛が、オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の2層になっているものをダブルコート、オーバーコートしかないものをシングルコートという。

オーストラリアン・ラブラドゥードルはどんな犬種?生み出された性質や特徴は?

これらの先祖犬の性質を受け継いだオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)には、どの先祖犬のどういう性質(被毛、カラー、サイズ)が受け継がれたのかについてお話します。

ALの性格について

多くのオーストラリアン・ラブラドゥードルは、個体差もありますが、活発で明るく、落ち着きがある子が多いです。

これは、ラブラドール・レトリバーやプードルから引き継いだ性格と言え、人にも犬にも友好的で、子供のいるご家庭でも仲良く一緒になって遊ぶことができます。また非常に賢く、洞察力も高く、先回りして物事を考える傾向にあり、気づけば飼い主がALに操られていることがあるかもしれないくらいです。

従順で労働意欲が高く、訓練がしやすい犬種で介助犬・セラピー犬としても適しています。

ALの被毛について

被毛についてはプードルのシングルコートで巻きのある柔らかな被毛と抜けにくさを受け継いでいます。そのためアレルギーフレンドリーで、人間がアレルギーをおこしにくいと言われています。

ただし、人のアレルギーには個人差もあるため、アレルギーに不安のある方は、実際にALにふれてみることをおすすめします。

ALのカラーと模様

カラーや模様が豊富なことも、先祖犬が関係しています。

例えば、プードルからは、ベースとなっているクリーム・ゴールド・ブラック・レッドなど、アイリッシュ・ウォータースパニエルからは、プードルにはない濃いチョコレート色を引きつぎ、これらの要素が複雑混ざりあうことで10種類以上の豊富なカラーがあります。

さらに模様の部分でも、コッカースパニエルから、パーティー模様を取り入れているため、本当に豊富なカラーと模様になっています。

ALのサイズ

サイズにおいて特に影響を与えているのはプードルです。標準的なサイズは以下のとおりです。注意が必要なのは、ミニチュアといっても中型犬くらいのサイズがあることです。

  • Miniature(ミニチュア)
    体高:35cm~42cm程度
    体重:7~12kg程度
  • Medium (ミディアム)
    体高:42cm~52cm程度
    体重:13~20kg程度
  • Standard(スタンダード)
    体高:52cm~62cm程度
    体重:23~30kg程度

先祖犬から見る まとめ

今回はオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)という犬種の先祖犬についてご紹介しました。

どんな先祖犬から、どんな性質を受け継いでいるかおわかりいただけたのではないかと思います。

これからALを飼育したいと考えている方は、ALがどのような犬かを知るきっかけになったことと思います。また、既にALを飼育されている方は、お家のALにご紹介した先祖犬の特徴を見出すことができるかも知れません。

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※ニチイ学館の犬の繁殖・販売事業、グルーミング事業は、2024年3月1日を以て、レイクウッズガーデンへ承継されました。

教えてくれた人(この記事の投稿者)

関根 彰子

獣医師

AL事業を立ち上げた初期から、10年以上ALに関わっている獣医師。
繁殖に関わる親犬や生まれてきた子犬達の健康管理、ALのブリーディングについての助言や調査等トータルに関わっており、ALについての多くを把握している獣医師です。

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