オーストラリアン・ラブラドゥードル (AL)は、カラーや模様のバリエーションが豊富な犬種です。実際、どんなカラーや模様があって、どんな風にカラーが生み出されているのか?何故、成長につれて毛色が変化することがあるのか知りたくありませんか?そこで、本記事では、ALの豊富なカラーや模様の種類や構成比、色の発生方法や成長による毛色の変化など、毛色にまつわる他では聞けない情報をお伝えします。この記事を読むと、オーストラリアン・ラブラドゥードルのカラー先生!になれるかも?最近自分のALの毛色が変わって気になっている方、ALの購入を検討されていて、どのカラーにするか迷っている方、カラーの成り立ちについてもっと知りたい方におすすめの記事です。この記事は、ニチイ学館でオーストラリアン・ラブラドゥードルの事業を管轄し、自身も10歳のオーストラリアン・ラブラドゥードルと暮らす原田が当社の獣医師関根の意見もふまえてお伝えします。
Contents
オーストラリアン・ラブラドゥードルの毛色|カラーと模様の関係
オーストラリアン・ラブラドゥードル (AL)という犬種の保全と登録管理、血統書の発行を担う日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)のホームページには、ALの18種類のカラーと7つの模様パータンについての情報が掲載されています。ALの毛色は、カラーと模様の両方で分類されるためです。※ALAJホームページ「ALのカラー」
例えば、白い毛色で、体のあちこちに黒いぶち柄があるALは、ブラックパーティーといって、カラーはブラックで、模様はパーティ、という風に表現します。そんなカラーと模様の中身について1つずつ説明していきます。
オーストラリアン・ラブラドゥードルのカラーは何種類?
まずは、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の豊富なカラーについてお話します。
日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)のホームページには、18種類のカラーが掲載されています。
種類が多く微妙な違いもあります。写真だと伝わりにくい部分がある上、私自身が見たことのないカラーや模様もあるため、ここでは、イラストをつかって特徴をお伝えしていきます。
カラーの特徴を見る際に、注目していただきたいポイントは2点です。“鼻の色”と“成長による変化で現れる色”がある点です。実は同じような毛色でも鼻の色が違うと、登録するカラーが異なる場合があるのです。
まずはイラストでカラーの全体の種類を確認しましょう。
こうやって一覧にすると、カラーがとても豊富であることがわかります。
それでは、イラストだけではわかりにくいため、以下で各カラーの特徴を説明していきます。
Gold:ゴールド
毛色:熟したアプリコット(杏子)の内部の様に、様々に変化するゴールドの濃淡色です。本来 ゴールドは、外側のコートよりも根元が薄い色であってはならず、全体は均一色であるほうが好ましいです。 この色は、成長と共に薄くなることもあります。鼻の色はブラックです。
Café:カフェ
ミルクチョコレートからシルバーベージュの範囲の色で、時間を経て(1~3年で)現れていきます。
鼻の色素はローズで、毛色とマッチしています。
Caramel:キャラメル
豊かな (rich) ゴールドから深いレッド迄の範囲の色で、望ましいのは体全体が均一なキャラメル色です。
Cream:クリーム
クリーム色ですが、アプリコットまたはゴールドの色合いが見られる場合もあります。 鼻の色は黒もしくはローズピンクです。
Chocolate チョコレート
全体は均一の濃いチョコレート色で、多くの場合ブラックのような濃い色で生まれ、生涯を通して濃いチョコレート色が 維持されます。鼻の色はローズピンクです。毛色とマッチしています。
Red:レッド
濃い赤茶色で、根元が外側の毛より明るくてはなりません。この色は、成長と共に薄くなることもあります。鼻の色はブラックです。
Black:ブラック
全体的に黒色で、全身が均一な黒色であることが望ましいです。鼻の色もブラックです。
Parchment :パーチメント
クリーミーなベージュとチョコレートの色で、ミルクをたっぷりと入れたコーヒーを思わせます。 パーチメントは、ミルクチョコレート色で生まれ、時間を経て(1~3年で)現れていきます。成犬は遠目には、ダークまたはスモーキーなクリームと見間違えやすいです。 鼻の色はローズです。
Chalk:チョーク
基本的には白色で、白墨(黒板のチョーク)の様な感じです。鼻の色は黒もしくはローズピンクです。
Lavender :ラベンダー
スモーキーなラベンダーとチョコレートの色で、ほぼピンクやライラック色に見えます。 チョコレートから時間をかけて(1~3年で)現れていきます。鼻の色はローズで、毛色とマッチしています。
Silver: シルバー
非常に明るい青みがかった灰色から暗い灰色(チャコール)で、全体の色は均一な方が好ましいですが、 色が層になっているように見えることは許容されます。鼻の色は黒です。
Blue :ブルー
暗い青から灰色がかった青色で、ブラックから時間をかけて(1~3年で)現れていきますが、 成犬は体全体が均一な毛色でなければいけません。 ブルーやグレーの皮膚色素を持ち、鼻の色は黒で体と一致します。
イメージは伝わりましたか?豊富なカラーと変化を楽しめるというのも、ALの魅力の一つです。
オーストラリアン・ラブラドゥードルの模様の種類と定義
次は、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の模様のお話です。
SNSなどでALを見ると、様々な模様の子がいると思います。その模様の定義について説明します。
まずはイラストで特徴をつかんでいきましょう!模様というよりも色の比率で決まっているものもあるので、注意して見てみて下さい!
それでは上のイラストを参考に、その詳細を説明していきます。
ソリッドカラー:単色(模様はない)
色は一様で、できれば均一であり、白い模様はないことが望ましいが、胸、脚と尾に見られる直径2.5cm以内の小さな白の斑点は容認されます。 均一な色が望ましいですが、被毛の自然な色は欠陥とはみなされません。
パーティ
50%以上は白で、その他許容される単色のぶち柄や斑点があります。 頭部は単色でもよく、特定の模様は必要ではないですが、頭部の模様が左右対称なのは好ましいです。 白い被毛の中の微細な斑点は容認されますが奨励はされません。鼻は斑点のカラーにあった色であることが好ましいです。
アブストラクト
全身の50%未満に白色が入ります。その他の部分は単色です。
ファントム
体の色は単色で、2番目の色によって、両目の上、マズルの横、頬の上、耳の下、 喉から胸または顎と胸に模様があり、最低限2番目の色が脚と尾の下にあることが望ましいです。尚、顔全体の2番目の色模様は、他の模様がある場合は容認されますが、好ましくはありません。
セーブル
毛先が黒い単色の毛色を持ち、特定のパターンや位置の指定はありません。
ブリンドル
通常、チョーク、クリーム、ゴールド、レッド、カフェ、ラベンダー、パーチメント、 シルバー等の明るい色層に均一で等質の割合で虎縞模様を描く黒い毛の層があります。
いかがでしたでしょうか?模様と言っても比率もあれば柄もあることが、わかっていただけたと思います。模様は個性がでやすく、認識されやすいですし、やはり唯一無二のところがあるので、珍しい模様だと注目もされやすいです。個性的な雰囲気が好きな方にはおすすめです。
日本にいるオーストラリアン・ラブラドゥードルのカラーと模様の構成比
日本にいるオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)のカラーと模様の構成比を、血統書の発行を行う日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)に伺いました。
ここでは“代表的なカラー”を集計しご紹介します。
カラーは作出のしやすさなどもあり希少なカラーもありますが、非常にバランスの良い状態であることがわかります。
模様は、やはりSolid(単色)が多く、Phantomが非常に希少なことがわかります。
このカラーのバランスを維持するため、私達ニチイ学館では下の2点を念頭にブリーディング活動を進めています。
1. 全体のカラーバランス
オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の豊富なカラーを守っていくため、ニチイ学館では常に生まれてくる仔犬達と、繁殖犬として残していく子のカラーのバランスを考えながら、ブリーディング活動を行っています。
特に繁殖犬については、大きさ、カラー、犬同士の相性で様々組み合わせが必要なため、重要な要素となります。
2. 人気カラーへの対応
ニチイ学館では、良くお客様から、『〇〇のカラー(人気色)の子がほしいから、もっとこのカラーの子を繁殖できないか?』というお言葉をいただきます。
もちろんお応えしたい気持ちはあるのですが、私達は人気カラーというのは時間と共に変わることを知っています。ブリーディングを始めた当初は、GoldやRedが人気でした。しかし現在では、その人気は変わってきています。
そのため、私達は5年10年先のことを考え、必ず全体のカラーバランスを優先しつつ、その時々のお客様のご要望にできる限り答えるように努力しています。
一時的な人気で、そのカラーばかりを繁殖してしまうと、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の特徴である豊富なカラーを守ることができなくなるからです。
オーストラリアン・ラブラドゥードルの毛色は変化する
先の項でも少し触れましたが、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)のカラーには成長とともに出てくるカラーもあります。カフェ・シルバー・ブルー・ラベンダー・パーチメントなどです。
この特徴は、先祖犬プードルから引き継いだ希釈遺伝子(動物の色を希釈する特殊な遺伝子(例えば黒→チョコレート色)によるものです。そのためこの希釈遺伝子を引き継いだ個体は、色の退色が比較的早い段階(1~3年)で起こります。
オーナー様から『色が抜けてきたのですが?』というお声をいただくことがありますが、希釈遺伝子の影響による場合や、人と同じように加齢により脱色し、徐々に白髪がふえてくるケース、季節によってメラニン色素(黒くなる色素)の働きが変わり、毛色に多少の濃淡の変化が起こる場合もあります。
そんな中で、希釈遺伝子の影響を受け、前述した新たなカラーとなる場合があります。たまに『色が変わったので血統書の登録を変えました!』というオーナー様のお声をいただくことがあります。希少カラーで認められると嬉しくもなると思います。
なお、カラーの登録を変更する方法は、ALの血統書の発行と管理を行うALAJに問い合わせてみてください。
こういった色の変化もすべてその子の個性であり、オーナー様として楽しんでいただける魅力の一つです。
私は10歳のゴールドカラーの子と暮らしていますが、年齢や毛を伸ばしているときなど、いろんな場面で毛色が微妙に変化しました。『なんか最近色が濃くなった?伸ばしたから?』と昔の写真と比較したりできるのも楽しいです。
オーストラリアン・ラブラドゥードルのブリーディングとカラーの関係
最後に、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の豊富なカラーがどうやって生み出されるかについてご紹介します。
犬の基本色はブラック系、イエロー系、チョコ系に分かれます。下の図をご覧ください。
これらの基本色の中には複数の「遺伝子型」(BBEEやBBEeといった表記)が存在し、見た目は同じでも個体によってその遺伝子型が異なります。
各「遺伝子型」の交わる部分の円グラフが、生まれてくる色の系統の確率です。
B遺伝子はチョコレート遺伝子といって、ブラックをチョコレートに変える遺伝子で、鼻やパット等の色にも影響を与えます。E遺伝子はエクステンション遺伝子といって、ブラックやチョコレートを全身に広げる遺伝子です。いずれもメンデルの法則 (※) に従い、B,Eがb,eに対して優(B>b,E>e)となります。
※メンデルの法則:基本的な遺伝の法則で、等質の法則(分離の法則)や独立の法則がある。
B遺伝子とE遺伝子は相互作用し、BとEを同時に持つとブラックに、Eを持たない(eeだと)とイエローに、Bを持たない(bbだと)とチョコレートになります。表の中で両親の遺伝子型が交わる部分が産まれてくる子犬の色として推測ができます。
ALはラブラドールレトリバーと同様にこれらの基本色を主体とし、プードルの希釈遺伝子、コッカースパニエルのパーティ遺伝子(柄の出る遺伝子)等、様々な毛色遺伝子によって前述のようなたくさんの毛色や柄が出現します。
しかし、現時点で犬の毛色に関する遺伝子研究はまだまだ未確定な部分も多く、またDNA検査にて特定できる毛色の遺伝子型は少ないため、産まれてくる子犬の毛色を完全にコントロールすることは困難です。
疾患リスクを避けるだけでなく、毛色を想定しながらのブリーディングというのは非常に難しいものですが、ニチイ学館ではこれからも少しでも理想に近づくことができるよう努力を続けております
カラーと模様のお話 まとめ
本記事では、豊富なカラーが特徴のオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)のカラーや模様についてご紹介しました。
豊富なカラーだからこその楽しみや、色の変化が味わえるのもALの魅力の1つです。
みなさんはどのカラーがお好みでしょうか?
インスタグラムなどで、「#オーストラリアンラブラドゥードル」で検索してみてください。きっといろんなカラーや模様のかわいいALが出てきますよ!これであなたもALのカラー先生!です。
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