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オーストラリアン・ラブラドゥードルが生まれ育つ日本の犬舎(ブリーディング施設)ご紹介

日本のオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)は、どのような環境で生まれ育ち、皆さんの元に家族として送り出されているのでしょうか。本記事では、ニチイ学館のFCHシステムに携わり、施設の管理責任者も務める田口が、ALが誕生する日本の犬舎(ブリーディング施設)をご紹介します。

オーストラリアン・ラブラドゥードル 日本の犬舎(ブリーディング施設)建設の経緯

日本国内でオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)のブリーディングが開始されたのは、約12年前のことです。

日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)(※) から認定された株式会社ニチイ学館が、現地オーストラリアの犬舎に倣って高規格のブリーディング施設を千葉県に建設しました。

日本の犬舎建設と運営に際しては、現地オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALA)からはもちろん、譲り受けていた現地犬舎からも、ALのブリーディングに関する様々な知識や犬舎施設・設備、運営のノウハウを学びました。

犬舎の運営に際し、ALAから提示された「犬にストレスにならない環境の確保」という条件を満たすべく、施設は面積11,689 ㎡、という広大な敷地に建設されました。

※日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会 (ALAJ):ALの改良・質の向上、繁殖の厳重な管理を進めること、そしてまた、厳しい倫理規定やブリーディング規定を遵守してALの保護啓蒙を日本で進めることを目的としています。

※オーストラリアン・ラブラドゥードル協会 (ALA):ALを生んだ本国オーストラリアの団体。ALの犬種としての保全、繁殖に関する管理指導を行う。

犬舎全体
シンボルツリー

オーストラリアン・ラブラドゥードル 日本の犬舎(ブリーディング施設)概要

従業員は全部で23名。獣医師2名をはじめ、トレーナーやトリマー、動物看護の経験があるスタッフが在籍しており、FCHファミリー※からお預かり中のブリーディング犬である母犬、父犬や生まれてきた仔犬のお世話や健康管理を行っています。

※FCHファミリー:FCHシステム(Family Care Home=ファミリーケアホーム)に参加し、ブリーディング(繁殖)活動にご協力いただいているファミリー(里親)。

事務所棟
仔犬達

また、出産予定日が近づくと、通常の健康管理以外に、検温やエコー検査などを実施します。

出産にあたっては、夜間や早朝になる事も多く、半日に及ぶ場合もあるため、スタッフが母犬に付き添い、出産のお手伝いをしながら母犬や仔犬の健康状態をしっかり行っています。

衛生管理の観点から、私は直接目の前で出産を見ることができないのですが、それでもモニター越しから、出産後の初めての育児で、初乳を与えるなど、しっかり仔犬のお世話をしている母犬達の様子を見ると、とても感動的です!この瞬間は何とも言えない無二の愛を感じます。

育児の様子

日本の犬舎(ブリーディング施設)|オーストラリアン・ラブラドゥードル達の生活

それでは、まず、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)が暮らす生活スペースからご紹介します。

ALはミニチュアであっても他の犬種と比較すると大きめのサイズとなります。身体が大きいということは、生活する部屋にも運動する場所にも一定の広さが必要になるということです。

私達の犬舎では、1頭1部屋(出産育児中は1家族1部屋)管理体制で、生活スペースは、ゲージやサークルではなく十分な広さを確保した部屋タイプになっています。

また、犬舎の建物は9棟あり、父犬棟、母犬棟、出産棟、育児棟、仔犬自立棟、隔離棟に分かれており、それぞれの担当スタッフがいます。

部屋や各棟の様子

【部屋タイプ】

1部屋の室内の広さは3タイプあり、割当は体の大きさや仔犬の頭数などにより決められます。

  1. 「室内 幅1.5m×奥行4.5m / 専用庭(ラン) 幅1.5m×奥行4m」
  2. 「室内 幅1.6m×奥行4.5m / 専用庭(ラン) 幅1.6m×奥行4m」
  3. 「室内 幅1.8m×奥行4.5m / 専用庭(ラン) 幅1.8m×奥行4m」

1頭(出産育児中は1家族)1部屋管理となりますが、部屋の使用は1頭(1家族)で2部屋を準備し、その日「清掃する部屋」と「生活する部屋」として交互に使用します。

室内
専用庭

室内は、中央を扉で仕切ることができ、さらにその扉が上下で分割されているため、仔犬がまたげない高さのゲートとして使用すると、育児中の母犬が、仔犬を観察しながら体を休められるように造られています。

育児中の場合は家族管理となるため、母犬に折り重なる仔犬の可愛らしい光景やお母さんが一生懸命育児に励んでいる様子を見ることができます。

そして育児が終わると、お母さんは飼い主さんの待つ自宅へ帰って行きます。

ゲート
産まれた仔犬
産まれた仔犬
産まれた仔犬

ドッグラン

広大な敷地内には、犬達が元気に走り回るための各種共有ドッグランと大型ドッグランがあります。

【共有ドッグラン】

部屋から続く専用庭(ラン)の先には、各棟に共有のラン(奥行6m」)あり、AL達は思いっきり運動することができます。共有ランでは運動の他、社会性を養うための一環として、犬同士の交流も行っており、スタッフがそれぞれの子の性格などを観察しています。

専用庭
共有ラン

【大型ドッグラン】

FCHファミリーの各講習会終了後にはブリーディング犬が思いっきり遊べるよう、ランが整備されています。

ブリーディング犬という事で、ヒート時には一般のランに行くことを躊躇されるファミリーもいらっしゃるため、ここは同じブリーディング犬と生活するFCHファミリーしか使用できません。注意を払いながら犬達を遊ばせ運動量を確保しつつ、お互い理解しあえる仲間、FCHファミリー同士も交流することができるようになっています。

また、近隣のFCHファミリーや近くに遊びに来たFCHファミリーがちょっと立ち寄る場所でもあります。貸し切りでボール遊びや運動ができるので、他の方を気にすることなく利用することができます。

大型ラン
大型ラン

日本の犬舎(ブリーディング施設)|オーストラリアン・ラブラドゥードルの日々のケアと健康管理

犬舎には、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の日々のケアや、ブリーディング活動のための健康管理設備が備えられています。

トリミングルーム

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)は毛量が多いため、毛が長いままだと出産育児期間中、汚れてしまうことが多くなります。そのため、衛生面から、母犬は出産前に被毛を短くカットします。短くカットすることで母犬も育児がしやすくなります。

その他、ランで遊んで泥んこになった仔犬達や、FCHファミリーにグルーミングサービスを提供できるよう(有料・無料)、シャンプーやカットができる充分な広さ(60㎡)のトリミングルーム設備が整えられています。

トリミングルーム
トリミングルーム

健康管理のための設備

【医務室(手術室)】

医務室では、仔犬から成犬までの犬達の日常的な診察や検査、治療の他、仔犬の避妊手術、引退するブリーディング犬の避妊手術などが行われています。

室内には診察台や医薬品、超音波などの検査機器、手術・麻酔機器、滅菌機などの設備が設置され、1頭1頭しっかりとチェックできる体制です。もちろん獣医師が犬舎を回って診察することも日常的に行われています。

診察中の様子
超音波検査中

【レントゲン室】

ペット販売前の健康確認や、ブリーディング犬として確定する手段の一つとして股関節の診断が行われています。

診断のために、犬専用のレントゲン撮影室を整備しており、当社獣医師が撮影・読影後、外部検査機関JAHDへ検査判定依頼をしています。疑義があるようなレントゲンについては、外部大学病院の整形外科専門獣医師に二次所見をお願いすることもあります。

レントゲンの機械は犬に特化したものになっており、麻酔なし、短時間で撮影できる特別仕様の設備です。

レントゲン撮影の様子

日本の犬舎(ブリーディング施設)|オーストラリアン・ラブラドゥードル FCHシステム運営

犬舎では、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の FCHシステム※運営のために、セミナーやトレーニングが行われています。

※FCHシステム(Family Care Home=ファミリーケアホーム):一定条件を満たしたファミリー(里親)にALご提供し、契約期間内においてブリーディング(繁殖)活動にご協力いただくシステムです。

セミナールーム(トレーニングルーム)

FCHシステムについてのセミナーやブリーディングに関する講習会は、セミナールームで行います。

FCHシステムについてのセミナーは、ブリーディングの知識や未去勢のAL犬の飼育と生活習慣、注意点、健康・生体管理の重要性などを知っていただく内容です。

また、ブリーディング講習会は、お手入れ方法や食事管理、引退後の体調の変化などテーマや年齢に合わせて参加いただきます。セミナーに参加することで、他のファミリーとの交流も始まり、同じ悩みを持つファミリー同士のコミュニティの場にもなっています。

ブリーディング講習会
セミナールーム

面談・面接ルーム(メインルーム)

メインルームは、FCHファミリーになるための二次審査、合格者へのブリーディング犬の引渡し、交配や出産のお預かりなど様々な目的に利用されています。サークル内ではAL犬をフリーで離すこともでき、ストレスがなるべくかからないように配慮しています。

室内にはAL専門誌やこれまで出産してきたALの出産アルバムも設置してありますので、待ち時間などにこれまでのアルバムを閲覧することができます。

お客様対応ルーム

ALが生まれ育つ日本の犬舎 ご紹介

日本の犬舎(ブリーディング施設)をご紹介しました。

普段、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)が生活する犬舎室内やラン、ALの健康管理のための充実した医療設備やFCHシステム運営のためのセミナー室など、普段見られない犬舎内部をご覧になることができたと思います。

全ての犬舎はエアコンも完備されているので、温度や湿度などを季節にあわせ調整し、育児中の母犬や仔犬達をはじめ、ファミリーからお預かりしているブリーディング犬達が快適にすごせるよう整備しています。

これからもAL達にとってストレスフリーの環境作りを行い、元気なAL達を皆様の元に送り出したいと思います。

ALに出会えるマッチングサイト

ニチイ学館の抽選販売サイトでは、毎週、新しいAL達を掲載しています。どんな子がいるかのぞいてみてください。閲覧にはまずは こちら からサイト利用申込が必要です。


※ニチイ学館の犬の繁殖・販売事業、グルーミング事業は、2024年3月1日を以て、レイクウッズガーデンへ承継されました。

教えてくれた人(この記事の投稿者)

田口 由縁

ブリーディング施設管理責任者、ALAJ理事

ブリーディング施設で管理責任者をしています。
明るく清潔でワンちゃん達にも人にも良い環境と、楽しくお仕事ができるよう心がけています。
プライベートでオーストラリアン・ラブラドゥードル5頭を中心にスローライフを楽しんでいます。最近はシニア・ハイシニアとなった愛犬達と自分の健康を重ね、愛犬達の体に良い食品やサプリ、お手入れグッズについ「ポチっと」してしまう今日この頃です。

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