オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)は犬の中でも、人懐っこく、人の感情やニーズを察知する能力に長けています。また、アレルギーフレンドリーで動物特有のにおいや抜け毛が少なく、セラピー犬としての資質が高い犬種と言われています。今回は、ALのエル君がセラピー犬として活躍する介護付き有料老人ホーム「ニチイホーム杉並松庵」を訪問し、ホーム長の秋谷さん、広報課の林さんに、エル君が普段どのような活動をしているのか、お話を伺いました。ペットとしてだけでなく、人々をサポートするソーシャルサービスドッグとしてのALの一面を知ることができると思います。この記事は日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)の事務局である上原がお伝えします。
セラピー犬のエルくんはどんな施設でセラピー活動しているの?
オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)のセラピー犬、エル君は、普段は、株式会社ニチイケアパレスが運営している「ニチイホーム杉並松庵」で生活しています。ニチイホーム杉並松庵は2022年9月にオープンした介護付き有料老人ホームで、60名近くの方がご入居されています。
このホームで、エル君は、オープン当初からセラピー犬として、ご利用者様に癒しを与える存在になっています。
日頃のエル君の活躍や生活について、ホーム長である秋谷さんと、広報課の林さんにお話を伺いました。
上原:本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。今日はセラピー犬として活躍するオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)、エル君の様子を取材させていただけるということで、楽しみにして参りました。よろしくお願いいたします。
秋谷:今日は、エルの日頃の活躍を見ていただければと思います。よろしくお願いします。
上原:ありがとうございます。ニチイホーム杉並松庵はとても綺麗な施設ですね。
秋谷:ありがとうございます。ニチイホーム杉並松庵は、株式会社ニチイケアパレスが運営しており、2022年9月にオープンした介護付き有料老人ホームです。現在、60名近くの方がご入居されています。
このホームで、オープン当初から、エルはセラピー犬として、ご利用者様に癒しを与える存在として活躍してくれています。
上原:その活躍ぶりを色々とお聞かせいただければと思います。それでは、エル君は普段どのような流れで1日を過ごしているのでしょうか。
秋谷:エルの1日は散歩から始まります。散歩は9時から約30分間、中庭を元気に走り回ります。午前中は、基本的に事務所で過ごしていることが多いですね。事務所にいるときはのんびりして過ごし、時には職員の隣に行き、撫でてもらったりしています。
午後は、ご入居者様のお部屋を訪問したり、入居検討中の方が見学に来られた際のお出迎えをしたりしています。
エルのメイン業務はここからです。ほぼ毎日16時からの1時間は、ご入居者様のレクレーションの時間を利用したふれあいの時間です。ご入居者の皆様は、エルとのふれあいで、自然と笑みがこぼれるご様子です。
ふれあいが終わった後は、夕方のお散歩をします。珍しい犬種からか、お散歩中は、声をかけられることも多く、エルがいることで地域の方々との交流も図れております。
そして1日の役目を果たしたエルは、専用の個室でお休みします。
ざっとですがこれがエルの1日の流れですね。
上原:エル君の1日の流れがイメージできました。ご入居者様の他に、見学に来られる方や職員の方々とも交流ができているのですね。それでは続いて、エル君がいることでご入居者様やご家族・見学に来られる方、スタッフの方々のそれぞれの立場の方にどんな影響をもたらしていると思われますか。
秋谷:はい。ニチイホーム杉並松庵のご入居者は圧倒的に犬好きが多いです。もともと犬を飼っていた方や、犬を飼いたくても諦めていた方などが、犬がいることで当ホームへの入居を決めたというケースもあります。
また、部屋に引きこもりがちなご入居者様が、エルがいることで部屋を出てレクレーションに参加し、日常の活動範囲が広がった好事例もあります。
はじめは入居されることに否定的で、本当はご自宅で暮らしたいという想いを持ったままご入居される方も多くいらっしゃいますが、エルが施設にいて、エルとふれあいを続けていく中で、日常の表情が変わった方が多いように思います。
面会に来られるご入居者様のご家族にとっても、エルが与える影響は大きいと感じています。ご家族がエルと一緒にご入居者様のお部屋に行くことで、会話にも花が咲きますね。エルに会いに来るご家族様もいらっしゃいます(笑)
見学に来られる方に対しては、エルがお出迎えしてくれることにより、「ワンちゃんがいるホーム」という認識を持っていただけます。一度見学にいらしてから、再訪してくださり、エルの存在が入居の決め手となったケースもあります。エルのおかげで他の施設との差別化が図れていると感じています。
また、ご入居者様だけでなく、職員にとっても癒しを与えてくれる存在です。エルのことがスタッフ間の共通の話題になるなど、コミュニケーションの活性化にも繋がっています。夜勤終わりにはエルとふれあって帰る職員もいます。本当にかけがえのない存在ですね。
セラピー犬に興味があって応募してくれた職員もおり、エルは、求人にも貢献してくれているんです。
上原:ご入居者様が増えたり、求人にも繋がったりしているなんて・・・エル君がもたらす影響は計り知れないですね。一方、中には犬が苦手な方もいらっしゃると思いますが、そのようなご利用者様にはどのような配慮をしていらっしゃるのですか?
秋谷:犬が苦手なご利用者様には十分配慮しております。動物の動きを見ることは脳の刺激にもなると考えていますので、距離を置いて、遠くから見守ってもらっています。
上原:エル君と生活することで、良い面が多くある一方で大変と感じる点はありますか?
秋谷:マテ・お座り・ヨシなどの基本的なトレーニングはマスターしていて、お利口なのですが、いくつか困っている面もあります。
例えば、普段は吠えないのですが、スーツを着ている大きな男性や、業者の方には吠えてしまったり、看護師さんが運ぶカートのような大きなものに対しては警戒心を見せてしまったりすることがあります。警戒しているときはおやつを与えると落ち着きますね。他には、ゴミ箱を漁ったりもしてしまいます(笑)。蓋つきのゴミ箱に変えて対策しました。
しつけに悩んだときは、レイクウッズラブラドゥードルズ (※)さんに電話で対応方法を聞くなどして、エルと良好な関係を築くようにしています。
※レイクウッズラブラドゥードル:千葉県流山市にある日本唯一のオーストラリアン・ラブラドゥードル販売所です。但し、店頭で直接販売は行っておりません。オーストラリアン・ラブラドゥードル抽選申込サイトから応募・当選された方に対し、オーストラリアン・ラブラドゥードルとのマッチングと販売を行うシステムです。
上原:トレーニングを受けているセラピー犬としても、継続的な情報収集とトレーニングが必要なんですね。
最後に、今後セラピー犬を通して取り組みたいことなどありますか?
秋谷:はい。ご利用者様にはもっとエルを自分の家族と感じてもらえるような働きかけをしたいと考えています。もう少し詳しく申し上げますと、月曜日には○○さんがごはんをあげる。△△さんがブラッシングをしてあげる。など、利用者様にエルに関する役割を提供することです。
周囲から喜ばれたり感謝されたりすることで、ご利用者様自身が、ここにいる存在意義や生きがいを感じていただけるのではないかと考えております。そして、ご利用者様がエルを“施設にいる犬”ではなく、“自分達の家族”と感じていただければ嬉しいです。
上原:今回は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。
<おわりに>
今回はニチイホーム杉並松庵でセラピー犬として活躍するオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)、エル君の様子をご紹介しました。
入居者の方々を自然に笑顔にしてしまうセラピー犬エル君とのふれあい。多くの方にもたらすセラピー犬の影響の大きさを知っていただければ嬉しいです。
これからもエル君の活躍は続きます。がんばれエル君!
※ニチイ学館の犬の繁殖・販売事業、グルーミング事業は、2024年3月1日を以て、レイクウッズガーデンへ承継されました。