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コラム

【ALオーナーインタビュー】ALが集まるドッグスクール“Doggy Chat”のトレーナー佐々木さんと愛犬アルドラのお話

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を家族に迎えたいけれど、ALのいる暮らしはどんなだろうか?どんな楽しいことや大変なことが待っているのだろうか。今回はご自身でもALオーナーであり、たくさんのALが集まるドッグスクールを運営している“Doggy Chat”の佐々木田鶴子さんにお話を伺いました。AL購入をお考えの方や、ALのしつけにお悩みの方の参考となれば幸いです。 この記事は日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)の事務局である上原がお伝えします。

はじめに

上原: 本日はよろしくお願いします。 お部屋を見渡すと、とても多くのALのお写真が飾られていますね。

佐々木:よろしくお願いします。この部屋に 飾られている写真は、しつけプログラムを修了したALちゃんたちです。現在、うちのしつけ教室ではALを含めてドゥードルの割合が約9割を占めています。
以前は小型犬が多く、大型犬もゴールデンレトリバーくらいしか生徒さんにいなかったのですが、最近は本当に増えてきました。

上原:ほとんどがドゥードルですか!佐々木さんご自身もALを飼われているということが、生徒さんの安心感にも繋がっているのでしょうね。

ALを知った経緯

上原:それではまずはじめに、ALを知った経緯をお聞かせください。

佐々木:13年ほど前にレイクウッズガーデン ひめはるの里※出身のスタンダードサイズのALのパピートレーニングをしたことがきっかけでした。

そのALがとても穏やかで、素晴らしい犬だと思いました。パピーなのに落ち着いていて、よく人の話を聞いて、目も合いやすく、人に対してリスペクトがあるように感じました。人とちょうど良い距離感を保ってくれる印象で、今までレッスンした小型犬とは全く違い、「こんな仔が私のパートナーになってくれたら嬉しい」と思ったことを今でも鮮明に覚えています。
その頃の私の生徒はほとんどが小型犬から中型犬で、大型犬はあまりいなかったのですが、ALには普通の小型犬や中型犬にはない存在感と魅力を感じました。

当時、お休みがあれば パーク犬たちとふれあうために、ひめはるの里をよく訪れていました。5~6回は訪れたと思います。その度にふれあい体験を延長、延長、延長と…ふれあう度にALの虜になっていきました(笑)
ひめはるの里のパーク犬は、カラーも大きさも様々でどの子もとても魅力的でした。
当時のパーク犬たちは「これぞセラピードッグ」という素晴らしい気質と教育の入っている犬たちで、絶対に人に自分から手をかけたり顔を舐めたりせず、優雅な立ち振る舞いで、人との距離感がちょうどよい犬たちでした。  パーク犬たちの「犬と人間がお互いに尊重し合える関係性」は、私にとって大変心地よいもので、この場所にずっといたいと感じたのをよく覚えています。

愛犬アルドラくんとの出会い

上原:長きに渡り犬のしつけに携わっている佐々木さんに 、ALはそこまで思わせたのですね。そこから実際にアルドラくんと出会うわけですが、そのあたりのエピソードをお聞かせください。

佐々木:以前キャバリアを飼っていたのでミニチュアサイズにしようかと思っていたのですが、主人との話し合いの結果、二転三転しカラーはレッド、大きさはスタンダードの仔にしました。

それがアルドラです。

ひめはるの里より紹介された後、パークに見に行き、長い時間幼齢のアルドラを観察した結果、お迎えすることを決めました。生後2ヶ月のアルドラは、仔犬ながらに後ろ脚がしっかり力強い骨格で、人間に過剰に依存しない、すでに自立した性格のオスでした。私の仕事柄、 将来的に他の犬たちの教育係としての仕事をさせる犬としては完璧な気質だと思いました。

しかし、こういう気質の犬は飼い主のスキルも試されます。アルドラは私自身のトレーナーとしてのスキルをかなり成長させてくれた犬でもあります。

今では生徒さんのワンちゃんの統率をとってくれたり、怖がりなワンちゃんにはアルドラが 付き添って歩いてくれたり、興奮しすぎたワンちゃんに対しては叱ってくれるなど、仕事上でも本当に良いパートナーとなってくれています。

上原:アルドラくん、この取材中も足元にいてくれますね。
生徒さんのワンちゃんが穏やかな状態だと静かに見守っている様子ですし、少し興奮気味だとワンっと言って注意してくれる兄貴的存在のように見えます。本当に良いパートナーですね。

しつけ教室について

上原:佐々木さんが運営するDoggy Chatでは パピー限定でトレーニングを実施しているのですか?

佐々木:うちのしつけ教室はパピートレーニングと出張トレーニングがあります。
出張トレーニングでは成犬も対象ですが、自宅でのしつけ教室についてはアルドラとの相性もありますので、しつけが入れやすいパピー限定としています。また、預かりサービスも実施しています。それも預かれるのは、Doggy Chatの12回のパピートレーニングを修了した犬のみとなります。

しつけの観点から見たALと他犬種との違い

上原:これまで数多くのドッグトレーニングを行っている佐々木さんから見て、ALと他犬種の違いはどのような点が挙げられますか?

佐々木:第一に、ALはとても賢い犬だと思います。特にひめはるの里出身(現:レイクウッズラブラドゥードルズ)のALたちは、FCHシステム※による綺麗好きな母犬の熱心なお世話や、スタッフさんの行き届いたお世話もあるかと思いますが、トイレの覚えは圧倒的に他犬種より早いです。

また、習熟度の個体差はあるものの、コマンドの覚えも早く、こちらが求めている答えを自ら考えて導き出す能力に優れていると思います。

ただ賢いが故に、飼い主さんとの知恵比べをするので、先回りして勝手に行動する場面もあり、飼い主さん自身のハンドリングテクニックや犬に関する正しい知識がないと逆に問題行動に発展する場面もあります。

上原:飼い主のみなさん、最初の関門はトイレトレーニングですもんね。たしかに、佐々木さんのおっしゃる通りで、ALの仔犬は清潔な犬舎でFCHシステムにより、いつもは家庭犬として暮らしている母犬とスタッフに見守られながら育っているので、トイレの覚えが早いという要因はあるかもしれませんね。よくニュースなどで耳にする劣悪な環境で清掃が行き届いていないゲージの中で過ごしている犬とはトイレの 覚えに差があるというのも頷けます。

また、ALは賢い分、しっかりと向き合うことができれば、最高なパートナーになり得るということですね!逆に上手くコントロールしないとALにコントロールされてしまうあたりが飼い主さんの腕が試されるところですね!

佐々木:そういうことです。

 “頭が良い=飼いやすい”ということではなく、頭がいい分、きっちり教育を入れてあげればとても良いパートナーになります。

上原:こうしている今もしつけに悩まれているオーナー様がいると思います。そのような方々や、これからALを飼おうと考えている方々へ伝えたいことはありますでしょうか。

佐々木:ALはセラピードッグとして有名ですよね。セラピードッグとは「おっとりと家の中でのんびり過ごす」イメージがありますが、どんな犬でも運動は必要です。「セラピードッグだから」と言ってどの犬も1日中おとなしい犬というわけではありません。過剰に興奮しないように自制心を培うトレーニングや経験が大事だと考えています。

ALはアクティブに活動もでき、家の中では落ち着いて過ごす「オンとオフを使い分ける能力」に優れています。飼い主が的確にその方向に 導いてあげてください。

ALに限らず、犬を飼育する上で大切なことは、適正な運動をしっかり与え、人間と暮らす上でのルール・規律を教え、その上で愛情を注ぐということを念頭において飼育していただきたいと思います。

ふわふわして大きなぬいぐるみのようなALですが、犬ですので教育してこそ人間の最高のパートナーになり得るのです。

そういった意味でも、食費やペットシート代、トリミング代などと同等に“教育費”というものを犬の飼育の必要経費として必ず検討いただきたいと考えています。

ALを迎え入れて、半年“教育”に注力すれば、 その後の10年は楽になると思います。

私の考える“教育”とは、 飼い主の指示によってどんな時でも、座る・伏せる・呼んだら戻ってくるなど基本的なトレーニングを入れ、仔犬の頃から“どのような状況でも”落ち着いていられるようにすることです。
いかなる時も人や犬に興奮しないように教えることにより、成犬になってから心の安定した落ち着いた犬になります。落ち着いた犬であればどこにでも連れていくことができ、犬のと生活の幅がぐっと広がります。

だから悩まずに、犬に教育することにはお金をかけて欲しいです。
犬を飼うことは誰にでもできる、でも犬は教えて育むものです。

また、ALオーナー様は多頭飼いの方がとても多いと思います。2頭いたら2頭で遊んでいて可愛い~~となる気持ちは痛いほどわかりますが、できれば1頭目をきちんと仕上げてから2頭目をお迎えして欲しいと思います。
1頭目の遊び相手として迎えると犬同士が結託して飼い主の言うことを聞かなくなる場合があります。まずは1頭目としっかり向き合ってから2頭目ともしっかり向き合うと、より良い多頭飼育となります。

100人トレーナーがいれば、トレーニング方法は100通りあります。お悩みの際はお近くの経験豊富なトレーナーに相談することをおすすめします。

私も犬と飼い主とがお互いにストレスなく心地よい距離感で生活をともにできるよう、トレーナーとしてこれからも飼い主さんに寄り添ってサポートしていこうと思います。

<おわりに>

いかがでしたでしょうか。
ALを含め、数多くの犬種のトレーニングに携わってきた佐々木さんだからこそ感じているお話だったかと思います。特にALは賢い分、教育に力をいれないと、飼い主が振り回されてしまうことがわかりました。

特にこれからALとの暮らしをお考えの方については、成犬になってからの問題行動を直すのはすごく大変だと思いますので、これから先の愛犬との生活をストレスなく楽しく過ごしていくためには、迎え入れてからすぐ教育には力を入れることをお勧めします。教育することで、これからのALとの関係性がより良くなり、最高のパートナーになれるのではないでしょうか。

佐々木さんが運営するドッグスクール“Doggy Chat”の情報はこちら

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※レイクウッズガーデンひめはるの里は2020年12月30日に閉園しております。
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※ニチイ学館の犬の繁殖・販売事業、グルーミング事業は、2024年3月1日を以て、レイクウッズガーデンへ承継されました。

教えてくれた人(この記事の投稿者)

上原

日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会 事務局

1991年生まれ。山梨県出身。サッカー、サイクリング、そしてオーストラリアン・ラブラドゥードルとの関わりを通じて人生が彩られている上原です。一般社団法人日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会の事務局として活動しており、オーストラリアン・ラブラドゥードルの魅力を広めるために、情報の発信やイベントの企画、啓蒙活動に携わっています。

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