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みなさんはボディシグナル、カーミングシグナルという言葉を聞いたことはありますでしょうか?ワンちゃんは人間のように話せない代わりに、体全体を使って様々な合図を出しています。このボディシグナルとカーミングシグナルを知っていれば、愛犬のちょっとした仕草から、今どんな気持ちなのかを読み解けるようになり、より深い絆を築くことができます。そんなワンちゃんの気持ちがわかるようになれるボディシグナルとカーミングシグナルを、ALを販売するレイクウッズラブラドゥードルズのトレーナーである阿久津さんに聞いてきました。この記事はニチイ学館社員犬の元担当トレーナーで、自身も10歳のALと暮らす岡野が書いています。
Contents
ボディシグナル・カーミングシグナルとは?
どちらも犬が人間や他の動物とのコミュニケーションを取るために、自分の気持ちや意図を他の犬や人間に伝えるために使うボディランゲージや行動のことを指します。
しかし、その目的と意味合いには違いがあります。
ボディシグナル
目的:様々な感情の表現
犬が姿勢、耳や尻尾の位置、目の表情、口の動きなど、体のあらゆる部分を使ってさまざまな感情(喜び、恐怖、緊張、興奮など)を表現し、他の犬や人間とのコミュニケーションを図るための行動。
カーミングシグナル
目的:ストレスの緩和
平和的コミュニケーション
犬がストレスや緊張、不安を感じたときに自分自身や他者を落ち着かせたり、争いを避けたい時に使う特定の行動。
これは、犬が自分の興奮や不安を鎮めたり、他の犬や人間に対して友好的であることや攻撃の意図がないことを伝えるための平和的なコミュニケーション手段。
このように、ボディシグナルとカーミングシグナルは、犬が自分の気持ちや意図を他の犬や人間に伝えるための行動ですが、その目的は異なります。
ボディシグナルは様々な感情の表現を目的とし、カーミングシグナルはストレスを緩和し、平和的なコミュニケーションを図るために使われます。
それぞれのシグナルを理解することで、犬とのコミュニケーションがより円滑になります。
ボディシグナルとカーミングシグナルを知ることの重要性
ボディシグナルとカーミングシグナルを知ると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
犬の感情を理解する
ボディシグナルとカーミングシグナルを知ることで、犬が何を感じているのかを理解することができます。犬は言葉を使わずに、体の動きや表情を通じて感情を伝えています。
これを理解することで、犬が喜んでいるのか、緊張しているのか、不安を感じているのかを読み取ることができ、適切に対応することができます。
ストレスや不安を軽減する
犬がストレスや不安を感じているときに発するカーミングシグナルを認識することで、早期にその兆候を察知し、対策を講じることができます。
例えば、犬が頻繁にあくびをしたり、体をブルブルと振るう場合、それはストレスのサインです。このようなシグナルを見逃さずに対応することで、犬のストレスを軽減し、リラックスさせることができます。
トレーニング効果を高める
犬のボディシグナルを理解することで、トレーニングの効果を高めることができます。犬がリラックスしているときや集中しているときにトレーニングを行うことで、学習効果が向上します。
また、犬が緊張している場合はトレーニングを中断してリラックスさせる事で、無理なく学習を進めることができます。
犬との信頼関係を築く
犬のシグナルを理解し、それに応じて適切な対応をすることで、犬との信頼関係を築くことができます。犬が飼い主に自分の感情を理解してもらえると感じることで、安心感を得て信頼を深めます。
これは、犬が飼い主に対してより協力的になり、指示に従いやすくなることにも繋がります。
問題行動の予防と解決
ボディシグナルとカーミングシグナルを知ることで、問題行動の予防と解決に役立ちます。
例えば、犬が不安や恐怖を感じている場合、それに気づかずに放置すると問題行動に発展する可能性があります。早期にシグナルを認識し、適切な対策を講じることで、問題行動を未然に防ぐことができます。
ボディシグナルとカーミングシグナルは、愛犬がオーナーやほかの犬たちとコミュニケーションを取るために出しているとても大切な合図(シグナル)です。
これらを理解し、適切に対応することで、愛犬とのコミュニケーションが円滑になり、犬のストレスや不安を軽減することができます。
ポジティブな感情のボディシグナル
犬がポジティブな感情の時に表すボディシグナルの例をご紹介いたします。
嬉しいとき
- しっぽを高い位置で左右に大きく振っている
- 笑った表情をしている
遊びたい・かまってほしい・甘えたいとき
- 前足を床につけ、お尻をあげるポーズ
→遊びに誘う典型的なポーズで、
「プレイバウ」とも呼ばれる。 - 手を飼い主や犬の体にかける
- 目を見つめる
- 相手の体に顎を乗せる
リラックスしているとき
- 尾がたらーんと垂れ下がっている
- 寝転がってお腹を見せる
- 四肢を伸ばし横たわっている
- 目を細める
興味があるとき
- 顔をかしげる
- 耳を前向きに立てる
ネガティブな感情のボディシグナルとカーミングシグナル
犬がネガティブな感情の時に表すボディシグナルとカーミングシグナルの例をご紹介いたします。
落ち着きたい・気持ちをリセットしたいとき
- くしゃみ
→鼻に異物が入った際もするが、ストレスを
感じた後、落ち着きたい、気持ちを
リセットしたいときにも見られる。 - 身体をブルブル震わす
→緊張から開放された時、落ち着きたい時
など体を振って気持ちをリセットする。
緊張しているとき
- 鼻を舐める
→特にけがなどしていないのに、
鼻をぺろぺろ舐めるのは、とても緊張して
いたり不安を感じているサイン。 - 多量のよだれ
→暑さや運動していないのに多量のよだれを
垂らすのは緊張やストレスのサイン。
車や病院など、苦手な環境に置かれると
現れやすい。 - 口角が上がる
→一見笑顔に見えるが、目が見開いていて
緊張やストレスを示している。
別名『ストレススマイル』 - 床や地面のにおいを嗅ぐ
→においを確認する意味もあるが、緊張や
不安を感じているときや相手に無関心
だと示したい時に見られる。
ストレスを感じているとき
- ぽたぽたとしずく状の鼻水が出る
- 首元などを掻く
- あくび
- 舌を大きく出してハッハッとする
- 足をかじる、舐める
- 目をそらす、瞑る
→目をそらしたり瞑ることにより、緊張や
ストレスの対象からの刺激をシャット
ダウンしている。
怖がっているとき
- 耳を後ろに倒す
- しっぽが下がっている、
または内股に入りこんでいる - 腰が引けている、後ずさりする
- 顔をかがめる、体を避ける
警戒しているとき
- 耳を立てて止まる
- 口を閉じて止まる
- 目を見開いてじっと見つめる
- しっぽをピンと立て、背筋が伸びて
体が強張っている - 片足をあげる
- 逆毛を立てる
相手を落ち着かせたいとき
- 顔をあげ空気のにおいを嗅ぐ
- 目をそらす、体を背ける
- 横向きで後ずさり、弧を描いて近づく
- あくびをする
- 伏せる
- ゆっくり動く
- 相手の体に顎をのせる
- 争っている2頭の間に割って入る
→ドッグランなどでケンカになりそうな時、
相手の興奮を鎮めるために行う。
どちらの気持ち?シグナルの見分け方
紹介いたしましたシグナルの中には、ポジティブ・ネガティブどちらにも書かれている行動もあると思います。
これらを見分けるには、犬の全身状態をよく観察する必要があります。
観察する際には、犬の体全体を見る、前後の状況を理解する、他のシグナルと合わせて判断することが大切です。
例えば、ポジティブな笑った表情と、ネガティブな口角を上げるはどちらも一見笑っているように見えることがあります。
ポジティブであれば尻尾は高い位置で大きく振り、楽しそうな雰囲気を醸し出しています。
ネガティブであれば、目は見開き、体が強張っていたり、しっぽがピンと立っているもしくはしっぽが下がっています。
このように同じような行動でも、シチュエーションによって意味合いが変わるのです。
ボディシグナルとカーミングシグナルを理解する目的としては、愛犬に寄り添った対応をすることにより犬のストレス緩和を目指すためです。
愛犬が出したシグナルを誤解してしまうと、愛犬のストレスがより増えてしまうことになりますので注意しましょう。
シグナルを見逃さない為には
シグナルを見逃さない、誤解しないためには、日常的に愛犬を観察する習慣をつけることが重要です。
例えば、臆病で吠えてしまう子であれば、吠える前に口を閉じて目を見開いて怖い対象をジッと見つめたり、体が強張っていたりと必ずシグナルを出しています。
この時の愛犬の気持ちとしては、怖い、警戒しなくちゃ、吠えて追い払わなきゃ…と追い詰められています。
シグナルを理解していれば、吠える前に行動を止めることが出来、ストレスから解放してあげることが出来るのです。
【注意点】
足をかじる、舐めるや、体をかくという行動はシグナルとして起こす行動ではありますが、湿疹がある、肉球に炎症が起きているという、病気の可能性も十分にあり得ます。
また、舐めたりかじったり掻きすぎてしまうと、傷が出来て余計気になって更に舐めてしてしまう事もあり得ます。
舐めたり掻いたりしている箇所を確認し、皮膚が赤くなっていたりなどしたら病院へ受診しましょう。
同時にストレスケアすることも忘れずに行いましょう。
ボディシグナルとカーミングシグナル まとめ
愛犬の気持ちを知るためのボディシグナルとカーミングシグナルをご紹介いたしました。
今回紹介したものは一例であり、シチュエーションによって同じシグナルでも意味合いは変わってきます。
完全に理解することは難しいかもしれませんが、様々なシグナルを組み合わせて表現してくれた愛犬の気持ちを少しでも理解してあげることが出来れば、愛犬とより良い関係を築けるかもしれません。
是非、愛犬がいまどんな気持ちかな?何を考えているのかな?など、愛犬のことを観察してみてくださいね!