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オーストラリアン・ラブラドゥードルの輸入方法と費用、注意点

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を海外から輸入するにはどのような方法があるのか?輸入する際は、どんなことに注意すればよいのか?ニチイ学館は、日本で唯一のブリーダーとして、ブリーディングプロセスの中で、グループ犬舎であるオーストラリアSunset Hills犬舎から、ALの輸入を行っています。そこで本記事では、それらの経験をもとに、輸入手続きの全体像をご紹介します。この記事は、ニチイ学館でAL事業を管轄し、自身も10歳のオーストラリアン・ラブラドゥードルと暮らす原田がお伝えします。

オーストラリアン・ラブラドゥードル 3つの輸入方法

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の輸入方法は、大きくわけて以下の3つです。

1. 指定犬舎のある輸入代行業者を使う方法

現地オーストラリアにある特定の犬舎と契約している業者が、契約犬舎の仔犬を紹介してくれる方法です。犬舎選びや仔犬の紹介など、全てワンストップで依頼できるため、手続きとしては一番簡単です。

しかし、ALは現地でも人気が高いため、輸出まで行う犬舎は少なく、数が制限されることが多いため、ご希望のALを入手するまでに時間がかかるという難点があります。

2. 輸入代行業者を使う方法(犬舎は自分で選ぶ)

輸入する国も犬舎も自分で探し、輸入手続きのみを代行業者に依頼する方法です。

上記で説明した理由から、現地の優良犬舎では輸出するほどの頭数を数多く確保できないところがほとんどです。実際、ニチイ学館グループ犬舎のSunset Hillsでも、シンガポールなどに輸出するケースがありますが、年間1頭あるかないかです。

そのため犬舎探しは苦労すると思いますが、良い犬舎と関係を構築できた場合や、そのような犬舎を紹介してもらえる場合は利用してもよいでしょう。そして輸入する仔犬が決まったら、実際の手続きは代行会社にお願いするとスムーズに輸入できます。

ニチイ学館ではグループのSunset Hills犬舎を保有しているため、この2.の方法を用いて輸入を行っています。

3. 完全な個人輸入

犬舎選びから、輸入の手続きまですべてを自分で行う方法で、一番難易度が高いです。代行手数料が不要になるなど費用的なメリットもありますが、手間やリスクを考えるとあまりおすすめしません。

今回は、私達ニチイ学館が行っている2.の方法を中心に詳しくご説明します。

オーストラリアン・ラブラドゥードルの輸入方法:輸入国の決め方

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の輸入に際しては、まずは、犬舎選びが重要になります。

世界中にある犬舎のうち、どこの国の犬舎から輸入するのがよいのでしょうか?

SNSでは、様々な国のALが見られますが、おすすめの国は、日本の農林水産大臣が指定する狂犬病清浄国・地域です。狂犬病清浄国・地域とは、狂犬病の発生が確認されていない国や地域のことです。

これらの国・地域から輸入すべきである理由は、そうでない国や地域から輸入する場合、輸入前後の手続きが非常に複雑になるためです。例えば、輸入前のマイクロチップ挿入、狂犬病予防注射2回、抗体検査などを行い、健康状態を管理していく必要があります。

狂犬病清浄国・地域に該当するのは、現在のところ、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムです。やはり、おすすめは、ALの祖国であるオーストラリアです。

詳細は以下、農林水産省のホームページをご参照ください。清浄国・地域からの輸入方法と、それ以外の国・地域からの輸入方法の2つが掲載されています。
犬、猫を輸入するには

オーストラリアン・ラブラドゥードルの輸入方法:輸入時のトラブルと防ぎ方

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)をスムーズに輸入するために、起こりうるトラブルと未然に防ぐ方法を知っておくことが大切です。

輸入時に起こるトラブルとして代表的なものに、仔犬の異常や障害があります。輸入の場合、実物をみて決定できないことが原因ですが、できるだけそのようなトラブルを防ぐ方法が2つあります。

1. 犬舎の選び方に注意

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)輸入時のトラブルを防ぐためのポイント1つ目は正しい犬舎を選ぶことです。

良い犬舎を選ぶ際は、以下の3つの要件を満たしているところを選びましょう。私自身が海外在住の日本人の方から「ALを現地の犬舎から購入したいのですが、どこの犬舎が良いか紹介してください」とご要望をいただく際にご紹介しているポイントです。

(1) その国や地域のオーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALA)に属している犬舎である。

ALAは、ALを生んだ本国オーストラリアの団体で、ALの犬種としての保全、繁殖に関する管理指導を行っています。オーストラリア以外にもヨーロッパのALAUK、アメリカのALAAなどがあります。また、対象犬舎のホームページの記載内容が、本国ALAのホームページの内容と類似していれば、助言や指導ももらっている可能性が高く、より安心です。

(2) 信頼できる団体に所属している。

ALは、各国で人気の犬種なので、最近ではALA以外にも、様々な団体が設立されています。犬舎がALA以外の団体に所属している場合は、団体の名称にとらわれず、どのような団体なのかを良く調べる必要があります。

(3) 輸出実績があり輸出方針も信頼できる犬舎である。

上記のような団体に所属していない場合でも、直接犬舎のオーナーと交渉してみて、信頼できるところであれば問題ないと言えるでしょう。

但し、輸出に対する方針や、輸出経験、輸出数、国内販売との比率などの実績も確認する必要があります。本当に信頼できる犬舎かどうか、きちんと確認しましょう。

2. 仔犬の選び方に注意

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)輸入時のトラブルを防ぐためのポイント2つ目は、健康な仔犬を選ぶことです。

選んだ犬舎から仔犬を選ぶ際は、まず、血統書と各種検査結果があるかどうかを確認し、それを提供してもらえるよう交渉しましょう。そもそもこういった資料をスムーズに提示してもらえるかが重要です。適切な繁殖・販売を行っている犬舎であれば、スムーズに資料を開示してくれるはずです。

ニチイ学館で仔犬を輸入するときは、その仔犬の親の情報も入手します。親の情報を確認することで、仔犬が、きちんと血統を管理・登録されていることが確認できます。

そしてある程度、候補を絞ったら、直接仔犬を見たりさわったりすることができないため、最後に、写真や動画で自分の好みの仔犬を選ぶことになります。

オーストラリアン・ラブラドゥードルの輸入の流れ

輸入したいオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の仔犬が決定したら、ここからは法律で決められた方法に従って、輸入手続きを開始します。

認識違いが生じることが多々あり、また関連する法律も日々変わる可能性があるため、必ずご自身で動物検疫所のホームページをチェックするか問い合わせをするなどして最新の手続き方法を確認してください。
動物検疫所ホームページ

ここでは、2023年8月現在の情報を元に、簡単に輸入の流れをご説明します。
相手方の犬舎がどのような輸出方法を選ぶかによっても内容は変わってきますので、ご注意ください。

<輸入の流れ>

  1. 仔犬の確定
  2. 相手側犬舎と調整し、フライトの便を決定
  3. 到着予定日の40日前までに日本側で到着予定の空海港を管轄する動物検疫所に事前届出
  4. 2週間程度で受理書が届く(届出申請時に登録したメールアドレスに届く)
  5. 受理書の申請番号を基に、輸入検査を申請(検疫検査用の申請)
  6. 届出書・受理書を(犬舎または相手側輸出代行業者)に送付(輸出手続きで必要となります)
  7. 相手側が輸出手続き開始
  8. 空輸
  9. 到着・動物検疫
  10. 引き取り
  11. 通常運用

オーストラリアン・ラブラドゥードル 輸入後に気を付けること

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)をやっと日本に迎え入れることができました。けれども、輸入後もさらに気をつけなければならないことがあります。

ALの輸入後に気をつけたいのは感染症(ウィルス)です。

たとえば同居犬がいる場合、他の犬と遊ばせるのは、万が一の感染を考えて、輸入後1週間は控えることをおすすめします。ニチイ学館では、万全を期すため、輸入した犬は感染症の潜伏期間を考慮して、最低1週間は他の犬と一切接触させないように隔離管理をします。

特に仔犬の場合に致死率の高いパルボウイルス感染症やジステンバーには十分注意しましょう。また、オーストラリアには日本にはないダニ麻痺症等の外部寄生虫による致死的な疾患もあるためこちらも注意が必要です。さらにオーストラリアは季節が日本とは逆のため、フィラリア等の予防時期も異なります。

ワクチン歴やフィラリア・ノミダニ等の予防を確認し、できるだけ早く日本に合わせた予防を開始しましょう。

今回の新型コロナウィルスで皆さんも実感されたと思いますが、ウィルスは目に見えないため、自分だけではなく、他人や同居犬にも影響をあたえる可能性があります。万が一の場合を考慮し、しっかりとした対策を取ることをおすすめします。

オーストラリアン・ラブラドゥードルの輸入費用(概算)

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の輸入方法をご紹介しましたが、輸入費用は実際、どの程度かかるのでしょうか?以下に輸入にかかる費用をまとめてみました。

仔犬自体の価格は、オーストラリアであれば比較的ポピュラーな犬種でもあるため、日本と比較して安価ですが、空輸費用や輸入代行手数料や通関での支払い手数料など含めると、約100万円となります。それなりの金額になってしまいますね。

  • 仔犬費用
    約40万(犬舎・色・大きさにより違います)
  • 通関支払い手数料
    (仔犬費用+空輸費用) ×10%程度
  • 空輸費用
    約30万(オーストラリアより)
  • 輸入代行費用
    約20万(羽田空港検疫代行/羽田空港通関業務代行/その他)
  • 合計
    約100万円

輸入方法と費用 まとめ

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の輸入方法と注意点、費用についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか?

生体の輸入というのは、その国々の生体系にも影響する非常に慎重に進めるべき行為です。前述のウィルスなども含め、個人での輸入は多くの知識が必要なことと、一定のリスクが伴うことを理解された上で行うことをおすすめします。

ただし、私は大前提として、ALに限らず犬の購入は当社のような顔の見えるブリーダーから直接購入することがベストと考えます。

ALに出会えるマッチングサイト

ニチイ学館の抽選販売サイトでは、毎週、新しいAL達を掲載しています。どんな子がいるかのぞいてみてください。閲覧にはまずは こちら からサイト利用申込が必要です。


※ニチイ学館の犬の繁殖・販売事業、グルーミング事業は、2024年3月1日を以て、レイクウッズガーデンへ承継されました。

教えてくれた人(この記事の投稿者)

原田 一志

株式会社 レイクウッズガーデン シニアマネージャー
日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会 理事

約10年前より、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)に関する事業に関わり、自身も10歳になるオーストラリアン・ラブラドゥードルと暮らしています。
介護現場での経験もあり、ALのセラピー犬としての癒しの力の必要性を感じています。
趣味は、愛犬と遊ぶことはもちろん、キャンプやジョギングなど、手軽なアウトドアが好きです。

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