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オーストラリアにあるオーストラリアン・ラブラドゥードル犬舎サンセットヒルズ Sunset Hillsとは?

オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)は、その名の通り、オーストラリアで生まれた犬種です。日本の認定ブリーダー(※)は1犬舎(㈱ニチイ学館)のみですが、原産国のオーストラリアには、複数のAL犬舎が存在します。今回はそのひとつであり、日本との繋がりが深いAL犬舎「サンセットヒルズ」について、ディレクターの永吉が紹介していきたいと思います!ALの原産国であるオーストラリアと日本では、どのような違いがあるのか、またどのような繋がりがあるのか、知っていただけると嬉しいです。

認定ブリーダー:一般社団法人日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)によって、ALの繁殖を許可されているブリーダー。ALAJは、ALの改良・質の向上、繁殖の厳重な管理を進めること、そしてまた、厳しい倫理規定やブリーディング規定を遵守してALの保護啓蒙を日本で進めることを目的とした団体です。

サンセットヒルズ犬舎はどんなところにあるの?

まずは、サンセットヒルズ犬舎があるオーストラリアについて紹介します。

皆さんはオーストラリアと聞くと何を思い浮かべるでしょうか?コアラやカンガルーなど特有の動物や、雄大な自然をイメージする方も多いのではないでしょうか。

実は、オーストラリアは動物愛護先進国としても知られており、野生・ペット問わず、全ての動物が動物福祉法で保護されているのです。

サンセットヒルズ犬舎は、オーストラリアの5大都市のひとつ、南オーストラリアのアデレードAdelaideにあります。オーストラリアは南半球にあるため、日本とは季節が反対になりますが、アデレードでは、日本の四季のように、一年を通して気候の変化が見られます。

自然豊かなアデレードに住むALは、飼い主さんと一緒に様々なアクティビティ等も楽しみます。サンセットヒルズ犬舎のお客様の中には、ALと一緒に山や川でキャンプをしたり、オーストラリアの美しいビーチで遊んだりと、愛犬との楽しい時間を過ごしているご家族もいます。

オーストラリアン・ラブラドゥードルの歴史、サンセットヒルズの歴史

そんなオーストラリアにあるオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)犬舎、サンセットヒルズはどのような歴史を築いてきたのでしょうか。

サンセットヒルズ犬舎の始まり

遡ること20年、一人のオーストラリア人女性がオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の繁殖を開始したことがサンセットヒルズ犬舎の始まりです。

ALはラブラドゥードルとは異なり、プードルとラブラドール・レトリバーをメインに、アイリッシュ・ウォータースパニエル、カーリー・コーテッドレトリバー、アメリカン・コッカースパニエル、イングリッシュ・コッカースパニエルと6種の犬種の血統を取り入れています。

それぞれの犬種の特長を生かしたALを作り出すべく、繁殖を行っていました。

日本へのオーストラリアン・ラブラドゥードル輸出

その頃日本では、介護・医療事業を展開している㈱ニチイ学館でオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)が注目されていました。

何故、ALに注目したのか。それは、ALがセラピードッグとして活躍していると知ったからです。セラピードッグによる介護事業を展開したいという思いがあり、直接現地のオーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALA)(※)に、ALを輸入できないか、問い合わせたそうです。

しかし、「数十頭のALを輸出することはパピーミルとも呼ばれる乱繁殖のリスクがある」と、日本に対する不信感が故に、ALの輸入を断られてしまいました。

そこで諦めるわけにもいかず、何度もALA理事と交渉を重ね、信頼関係を築いた結果、「ALを輸出するのではなく、犬舎を譲り受ける」という方法に辿りつきました。オーストラリアに犬舎があれば、自由にALを日本へ輸出することができます。そうして、㈱ニチイ学館が譲り受けた犬舎がサンセットヒルズ犬舎でした。

※オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALA): ALを生んだ本国オーストラリアの団体。ALの犬種としての保全、繁殖に関する管理指導を行う。

日本と繋がるオーストラリア犬舎

このような経緯で2010年に㈱ニチイ学館の傘下に入ったことにより、サンセットヒルズ犬舎は、日本と繋がりのある原産国の犬舎として運営されてきました。オーストラリアでのALの繁殖・販売のみならず、輸出を行うことで現在も日本のAL繁殖に貢献しています。

オーストラリアン・ラブラドゥードル犬舎サンセットヒルズの様子

さて、サンセットヒルズ犬舎にはどのような人が勤務していて、AL達はどのように過ごしているのでしょうか。

スタッフ紹介

サンセットヒルズ犬舎には、現在、私、永吉を含め、11人の職員・スタッフがいます。

職員は、事務回りやお客様対応、交配ペアリングの決定等の業務を、犬舎スタッフは、ALの販売や、交配、出産介助、トリミング等の対応を行っています。

また、オーストラリアでは、動物がいる施設の場合、必ず誰かしら常駐しなければならないという法律があるため、犬舎に住み込み、夜間のALの管理を行うスタッフもいます。もちろん、永吉以外は全員オーストラリア人です!

施設紹介

サンセットヒルズ犬舎の大きさは1ヘクタールあり、職員・スタッフのオフィスと、AL達のためのスペースがあります。

AL用スペースの中には、出産前~出産後1週間まで母犬と仔犬で使用するウェルピングルーム、生後1週齢~7・8週齢までの母犬と仔犬が過ごすナースリールーム、その後ワクチン接種や不妊手術が完了した仔犬がいるパピーヤード(仔犬用の庭)があります。また、成犬が遊べるヤードもあります。

このようなヤードがあるのも、広大な土地と自然豊かなオーストラリアならではの環境です。

ちなみに、日本で唯一ALの繁殖を行っている㈱ニチイ学館の茂原事業所は、建設時、サンセットヒルズ犬舎を参考にしています。

ヤード
ヤード
ヤード
ナースリールーム
ウェルピングルーム
ウェルピングルーム

サンセットヒルズ犬舎のオーストラリアン・ラブラドゥードル達

サンセットヒルズ犬舎にいるオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)達はどのように過ごしているのでしょうか。

前述の通り、生後8週齢以降の仔犬はパピーヤードで過ごします。パピーヤードは屋外ですが、朝晩の寒さにも対応できるよう屋根と仕切りを設置しています。

パピーヤード

生後12週齢以降の仔犬は、敷地内で放し飼いにしています。これは社会経験のため、成犬や人間と接する機会を作るためです。小さな仔犬がスタッフを追いかけ、ついてくる姿はとってもかわいいですよ!
※繁殖面を考慮しオス犬は別のスペースに入れる等の配慮もします。

また、サンセットヒルズ犬舎では、AL達のごはんにもこだわっています。

仔犬はふやかしたドライフードに、チキンかビーフのひき肉、みじん切りにした野菜(人参・サツマイモ・かぼちゃ・ほうれん草など)、米を煮込んだものなどをトッピングしています。生肉を加えることもあります!成犬は、仔犬にあげているものに、ミートローフ、チキンネック、生肉または調理肉をのせた盛り合わせをあげています。肉は、カンガルーの肉を食べさせることもあります。

仔犬用ご飯
仔犬用ご飯 (生肉有)
成犬用ご飯

サンセットヒルズ犬舎のオーストラリアン・ラブラドゥードル繁殖について

サンセットヒルズ犬舎では、どのようにオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の繁殖を行っているのでしょうか。

サンセットヒルズ犬舎での繁殖の様子をお伝えする前に、繁殖方法の種類について説明します。ALの繁殖方法には以下の3種類があります。

【AL3つの繁殖方法】

  1. インブリーディング
  2. ラインブリーディング
  3. アウトブリーディング

1. インブリーディング

親子、兄妹、姉弟など血縁関係が近い犬同士で交配をします。

遺伝子的に近い犬同士の交配であることから、血統が濃くなり、偏りが発生し、弱体化、奇形などの退化現象が起こる可能性があることから、注意深く計画的な交配が必要です。

2. ラインブリーディング

遠い血縁関係の犬同士で交配をします。インブリーディングよりは退化現象の可能性が低く、どの犬種においても、一般的な繁殖方法とされています。

3. アウトブリーディング

全く関係のない血統の犬同士で交配をします。異なる遺伝子の血統をいれることで、犬舎の血統が濃くなることを防ぎます。サンセットヒルズ社では、他犬舎から繁殖犬をもらうことで、異なる血統を取り入れます。

国内に複数のAL犬舎が存在しているサンセットヒルズ犬舎では、2.ラインブリーディングと3.アウトブリーディングの2つの繁殖方法を取り入れています。

2001年には初の試みとして、ヴィクトリア州に所在する犬舎とアウトブリーディングを実施しました。現在も交換した仔犬は繁殖犬として起用されています。

一方、日本の犬舎では、上記2.のラインブリーディングを採用しており、今後、私達がアウトブリーディングをした繁殖犬を輸入する計画です。

犬舎サンセットヒルズ まとめ

今回は、オーストラリアのオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)犬舎、サンセットヒルズについて、ご紹介しました。

サンセットヒルズ犬舎の起源や特徴、日本との繋がりについてお分かりいただけましたでしょうか?また、自然豊かなオーストラリアで過ごすAL達の様子を知っていただけましたら幸いです。

サンセットヒルズ犬舎の最新の様子はfacebookでもご覧いただけます。是非覗いてみてください。
Sunset Hills Facebook

教えてくれた人(この記事の投稿者)

永吉 都希

サンセットヒルズ社 ディレクター

日本で獣医師として働いたのち、オーストラリアに移住を決心。子供二人と共にパースに渡り勉強をしていた際、ニチイ学館と出会い、アデレードに移住、サンセットヒルズ社のマネージャーとして2016年から勤務。獣医師としての知識、技術をALの繁殖に生かしている。

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