オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を既に飼っているけれど、もっと素敵な家族を増やしたい。そんな皆さんのためにALの多頭飼いの経験についてお話したいと思います。もちろん、他犬種とAL、ALの親子飼育など、様々な多頭飼いのケースがあると思います。様々な組み合わせはありますが、多頭飼いの日常の様子や、多頭飼いのメリット、デメリット、気をつけるポイントについてご紹介します。 ニチイ学館のFCHシステムに携わり、ブリーディング施設での管理責任者も務め、プライベートでも、6頭のALと生活を共にしてきた田口がご紹介します。兄妹犬、親子犬、家族関係のない犬、他犬種との多頭飼いの経験が豊富です。
Contents
我が家の先住犬とオーストラリアン・ラブラドゥードル達
これまでたくさんの犬種と生活を共にしてきました。むしろ単頭飼いの経験の方が少ないくらいでしょう。
元々いた他犬種の先住犬は、知人から迎え入れたミニチュアダックスフンドでした。小学生の子供が犬を飼いたいと言ったことから、「命の大切さ」「言葉の発せない生き物への理解とお世話をすることの必要性」を学んで欲しいという思いから迎え入れることにしたのでした。
その後、私のニチイ学館での仕事の関係で、繁殖犬の役割を引退したオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を家に引き取り、2014年から先住犬との2頭飼いが始まりました。
そして、2016年~2020年の間にさらにAL5頭が加わり、総勢6頭のALと暮らした時期もありました。現在は5頭のALと生活しています。
<現在の家族犬>
- ♂ミディアム、2010.1.11生まれ
(2と兄妹) - ♀ミディアム、2010.1.11生まれ
(1と兄妹、5と親子) - ♀スタンダード、2010.5.24生まれ
- ♀ミニチュア、2010.10.28生まれ
- ♂ミディアム、2015.1.31生まれ
(2と親子)
オーストラリアン・ラブラドゥードルと我が家の多頭飼いの歴史
ここでは、先住犬であるミニチュアダックスフンドのいる我が家に、1頭目のオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を迎え入れた時のことについてご紹介します。
迎え入れる前のワクワクと不安
多頭飼いは、とてもワクワクする魅力的な体験ではありますが、初めて多頭飼いをされる飼い主さんは不安も大きいのではないでしょうか。
先にご紹介のとおり、我が家の先住犬はミニチュアダックスフンドだったのですが、当時は11歳で既にシニア犬の仲間入りをしていました。そこへ体の大きな4歳のオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を迎え入れることになったのです。
先住犬は小さくても気が強い子だったのですが、飼い主は「大丈夫かなー、いくら先住犬の気が強いからといっても、喧嘩になったら体の大きなALに嚙まれたりしないかな・・・」「年齢的にもどちらも成犬だし、性格も合うかな?」など、いろいろ不安がありました。
犬同士のマッチング
いよいよ先住犬のミニチュアダックスフンドとオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)のマッチングへ。
これまで先住犬は、人とも犬とも限定的な交流しかない上、ドッグランにも行ったことがありませんでした。そこに、初めて目の前に現れた大きな「犬」。最初は見えない振りをしていました。
けれども、フレンドリーなALは「遊ぼ!遊ぼ!」と誘ってきます。それでも先住犬は無視していました。すると先住犬の前にALの大きなお尻が。その瞬間、「ガブッ!」とお尻に嚙みついた先住犬。優しいALは寝転んで「ごめんなさい!」。はい!これで主従関係ができ上がりました。
ここからは先住犬が主導権を取り、一定の距離間で接する事に。
きっと、これでALが反撃していたら家族になっていなかったでしょう。大きな体の優しい子は、こんな風に新たな家族として迎えられることになったのです。
自宅に来てからの2人(頭)
基本、我が家はフリーな生活。最初のころは、先住犬は変わらず、自宅内を自由に動き回り、新たに家族になったオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)は万が一を考えてクレート中心での生活です。
距離を近づけるため、毎日、クレート越しで対面させます。ALはお尻の「ガブッ」を覚えているため、クレートの奥の方に。先住犬はクレート越しに睨みをきかせ、「ここは俺様の家だ!」みたいな感じです。
でも、お散歩は仲良く一緒に行けていました。何とも不思議な関係がしばらく続き、そのうち先住犬もALのいるクレートを気にしなくなり、ALもへそ天(仰向けになって寝そべっている様子)で寝るようになりました。そして、クレートの扉を常にオープンにしても、いつの間にかどちらも気にせず一緒にいるようになったのです。
しかも散歩では、他の犬を発見すると、ALが小さなお兄ちゃんを他の犬から守るように前に立ちはだかる様子が見られるようになりました。
ALは散歩に行くと、ご近所さんに「なでなで」されるのが好きです。一緒に散歩している先住犬はそんな様子を見ていて、いつの間にか人にも慣れていきました。まったく違う性格の犬同士が一緒に生活するようになって、それまでの性格が変わったのは不思議な経験でした。
これはもしかしたら飼い主の私が、「人も犬も苦手」と先住犬のことを決めつけていたのかもしれません。
ただ初めは多頭飼い経験のある私も、最初のALを迎え入れる時は先住犬との相性を心配しました。何せ、ALに比べ体は小さいけれど気が強い先住犬です。体格差もあるので、生活する上でどちらの犬にもストレスになり、体調を崩したりしないかと心配しました。
しかし、そんな心配は早い段階でなくなり、逆に予想していなかったほどの落ち着いた2頭の生活になりました。おかげでシニア犬の先住犬はALから刺激を受けることで、長生きすることができたのだと思っています。
その後も増えたオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)との多頭飼い
我が家で迎え入れたオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)は全てが成犬でした。
そのため、喧嘩になることが一番心配で、小さな先住犬のミニチュアダックスフンドがいる間は必ずマッチングを行いました。しかし、最初のALが無事家族になれたことから、2頭目のALからは意外とスムーズに迎え入れることができました。
先住犬の小さな長男は守られていることを実感しているのか、また大きなやつが来たなくらいの感じになっていました。
先住犬が旅立ったあと加わったAL達は、同じ犬種である上、ニチイ学館で一緒に仕事をしていた仲間達なので、家族に加わるのもスムーズでした。現在、5頭いるALは、それぞれ個性があり、観察していると微笑ましい時や、なるほどと関心する時もあり、今でも新たな発見があります。
オーストラリアン・ラブラドゥードル 多頭飼いのメリット・デメリット
毎日がワクワク楽しくなるオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の多頭飼い。そのメリット、デメリットは?
オーストラリアン・ラブラドゥードル多頭飼いのメリット
多頭飼いってワクワクしますよね。新しい家族が増えて、日常生活がさらに楽しくなります。
では、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。ほんの一部ですが我が家の例からご紹介します。
家族が増えることで人も犬も生活が楽しくなります。
家族で犬と一緒の外出や家族と過ごす時間が増えます。また、犬を通して新たな友人ができ、家族以外の人との交流や外出する機会も増え、生活が活動的になります。
最近はドッグカフェやワンちゃんOKの飲食店も増え、中にはワンちゃん用の食事やおやつを用意しているところもあるので、犬達と一緒にランチをする事もできます。家族団らんの楽しいひとときです。
1頭目に比べトイレトレーニングやしつけが楽になります。
トイレトレーニングについては、先住犬の臭いに誘われ、マーキング行為の一つとして、同じ場所にするようになります。
またオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)のように観察力の優れた犬であれば、先住犬が褒められている様子を見て真似する事も多いため、先住犬のしつけがきちんとできていると他のALのしつけも比較的楽にできるようになります。
しつけは何歳になっても日々の繰り返しが必要です。トレーナーさんにトレーニングをお願いした後でも、家庭での反復トレーニングが欠かせません。一旦できるようになるとトレーニングというより、決まりごとみたいな感じになりますが、ちゃんとできた時は、決まりごとでも褒めてあげることが大切です。
犬同士が遊び相手になり、適度な運動やじゃれあいでストレスを発散することができます。
散歩に行けない時や、家族が構ってあげられない時に、犬同士でよく遊ぶことがあります。
我が家は全頭シニア犬なので、激しい遊びはしませんが、ちょっと突っついてチョッカイを出したり、持っているおもちゃを横取りしたりしています。
1頭だと寝ている時間が多くなりがちですが、多頭飼いの場合は少しの時間でも犬同士遊ぶことができ、特に雨の日などは気分転換になります。
犬の社会性がつき、外出が楽しくなります。
ドッグランに行くと、最初はラン内のチェック(マーキング)をし、一通り終わると他の友達に挨拶、そして最後はいつの間にか同居犬同士での遊びになっています。
これはいつも不思議に思うのですが、久しぶりの友達犬との再会では、挨拶なしでもスムーズに遊べ、時間が経つと同居犬同士の絡みあいになっているのは何故なのでしょうか?元々血縁がなくても一緒に生活することで、犬の中にも家族意識ができるのではないかと思います。
家族内での意地悪はいいけど、他の犬からチョッカイ出された同居犬が嫌がっていれば助けに行く。「うちの子になにするの!」みたいな感じです。そういう場面を目にしたことありませんか?
同居犬の結束力でしょうか。おそらく「一つの群れ」になっているのでしょう。個人的には他の方の多頭飼いの犬も、同じ傾向があるように思えます。
オーストラリアン・ラブラドゥードル多頭飼いのデメリット
私自身、多頭飼いをしていて楽しさや癒しをもらっているので、明らかなデメリットは感じていません。しかし、家族の数が多くなることで注意が必要な面もあるのでご紹介します。
個々のスペースの確保が必要
人も個人のスペースや時間を必要とするように、犬にも自分のスペースが必要です。それぞれの犬がゆっくりと安心して眠れる、休息できる場所の確保は不可欠です。なので、より頭数が多いほど、より多くのスペースが必要になります。
悪いことを真似する時もある
クッションを楽しそうにバラバラに破壊したり、誰かが来た時に1頭が吠えると連鎖反応で他の犬も吠えたりすることがあります。大勢だと強気になるのでしょうか。1頭だとしないことも多頭だとしてしまうことがあります。
必要品が頭数必要になる
トイレシーツ、食費など毎日必要な物が、頭数が多いとその分必要になります。我が家は1日1キロちょっとのフードが必要になるので、1か月で約35キロ必要です。しかも、個々の体調に合わせたものになるので、それぞれの保管場所も必要です。
お手入れ費用が掛かる
耳、歯、目など、毎日のお手入れは、それぞれの子に必要です。うちのAL達は、シニア期になったので毛は比較的短くカットしていますが、毎月のトリミング費用も時間も頭数分かかることになります。
医療費が掛かる
毎年必要なワクチン接種など、必要な予防接種も頭数分となると大きな出費です。体調不良などで診察を受けると、サイズによって薬の量も違います。体格差で治療費に違いがあることも知っておくとよいと思います。
既に旅立っている先住犬の通院の時に、かかりつけの動物病院の先生から「犬と人の1日は同じ長さではないのだよ」と言われました。
確かに、老いていく犬を見てその時を覚悟しなくてはと思い、我が家では春と秋に健康診断を行い、病気の早期発見に努めています。自己満足かもしれませんが、一日でも長く一緒にいられるようにと。
相性問題が生じることがある
普段、同じ空間で生活していると、特別に問題がなくとも、ちょっとしたストレスからイザコザが勃発します。2頭でイザコザが始まると他の犬も参戦するので、小さなイザコザが大きな喧嘩に発展することもあるので、要注意です。
我が家の場合、犬同士の焼きもちが多いように思います。家族は平等に扱っているつもりでも、犬に取っては違うのかもしれませんね。よく観察されていることがわかります。
散歩に時間を要する
時間帯や天候によっては散歩を2便、3便に分けることもあり、その分時間を要します。散歩犬の多い時間帯では、グループ分けして行くなど工夫しています。住宅地の場合、ご近所迷惑になったり、怖い犬と思われたりしないように注意することも必要です。幸い、有難いことに我が家の犬達はご近所の方からも可愛がっていただいています。
災害時の避難が大変
数年前の大雨・台風の時、我が家は避難警報区域になりました。その時は犬を車に乗せ、知人である近所のスーパーの駐車場をお借りし避難させました。
公民館や避難所はまだまだペット同伴での避難は難しいところが多いようです。多頭飼いをしている方だけでなく、ペットを飼われている方は避難させていただける場所を確認しておくと安心です。さらに、避難時はクレートが役立ちます。日頃から個々のスペース確保も含め、クレート慣れをさせておくとよいでしょう。
避難用の水、フード、トイレシーツ(マナーパンツ)、タオルなど、犬用の避難用品の準備もあると安心です。
多頭飼い まとめ
いかがでしたでしょうか。オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)との多頭飼い生活についてご紹介しました。
多頭飼いって大変と思われますが、ALは人にも犬にもフレンドリーで、多頭飼いに適していると思います。実際に他の犬種やALとの多頭飼い生活を楽しんでいる方も多くみられます。そして、その犬同士のあり方の中から人が学ぶこともあると思います。
是非、チャンスがあったら多頭飼いにもチャレンジしてみてください。一層にぎやかで楽しく、幸せな日々になることは間違いありません。
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