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ALのしつけ/引っ張り癖防止トレーニング

友好的で遊び好きな性格の仔が多いオーストラリアン・ラブラドゥードル。お散歩中についつい遊びたくて、撫でてほしくて引っ張ってしまうなど、散歩中の引っ張りにお悩みの方も多いと思います。散歩中に引っ張られると飼い主の手が痛くなるだけでなく、犬の体にも負担がかかってしまいます。引っ張り癖を防止するトレーニング方法を、ALを販売するレイクウッズラブラドゥードルズのトレーナーである阿久津さんに聞いてきました。この記事はニチイ学館社員犬の元担当トレーナーで、自身も10歳のALと暮らす岡野が書いています。

ワンちゃんが引っ張ってしまう理由

ワンちゃんがリードを引っ張る理由は主に以下の2つです。

・好奇心
・恐怖心

好奇心から引っ張る

好奇心から引っ張る子は目に見えるものすべてに反応してしまいます。
「あっちに行きたい!」「こっちに行きたい!」と興奮しているため、気の向くまま好奇心のままに引っ張ってしまうのです。

恐怖心から引っ張る

神経質で臆病な性格の犬にとって、散歩道は未知のものでいっぱいです。
怖いものや苦手なものから逃げるために必死で引っ張ってしまうのです。

好奇心 or 恐怖心 見分け方!

「うちの子はどちらの理由で引っ張っているのだろう?」と思ったら、散歩中の愛犬の様子を観察してみましょう。以下を参考にしてください。

好奇心から引っ張る犬の特徴恐怖心から引っ張る犬の特徴
・浮足立つように軽い足取り,前足が浮いている
・表情が笑っている
・尾が上がっている
・おやつやおもちゃなど好きなものに反応する
・尾が下がっているまたは股下にしまっている
・瞳孔が開いている
・早歩き
・腰が引けている
 (後肢がややかがんでいる)
・耳が後ろに垂れ下がっている
・人の声やおやつに反応しない
・吠える

次の項目では、それぞれのトレーニング方法について説明します。

引っ張り癖防止トレーニングの練習前に教えたいこと

引っ張る犬に対して有効なトレーニングなのが、『ヒールポジショントレーニング』です。
ヒールポジションとは、飼い主の横に犬がぴったりとつく動作のことです。
これを教えると飼い主の横を歩かなければならないことを犬が覚えるので、お散歩中に引っ張ることを防止できます。

ヒールポジションの練習をするにあたり、事前に以下の2つを覚えさせましょう。
これは、お散歩デビュー前の仔犬の頃から教えることにより、様々なトレーニングにも役立ちます。

1誘導の手についてくる

アイコンタクトを教えるときやヒールポジションの位置を教えるためには、「手の誘導についてくる」ことが重要です。これを覚えることで、様々なことをスムーズに教えることができ、より多くのことを学習しやすくなります。

①フードの手のひらにはさみ、手のひらに鼻先を触れさせる。

②まずは短い距離から始め、徐々に伸ばしていく。
この時、手のひらを自ら近づけないよう気を付ける。

③手を出す位置は、鼻先と同じ高さ。
高すぎると犬が意識を向けず、手を追うのを諦めてしまうことがある。

誘導の手についてくるが覚えられたらアイコンタクトの練習を始めましょう!

2アイコンタクト

飼い主さんと目を合わせながら歩くことができると、拾い食い防止や飼い主さんの様子を伺うため引っ張らなくなります。また、飼い主さんに意識が向いているため、屋外でも指示が通りやすくなります。
まずは日常や止まっているときにアイコンタクトが取れるよう教えましょう。

①日常で目が合ったら褒める。

②両目の間に手を持っていき、目を合わせるよう誘導をし、目が合ったら褒める。

③慣れてきたら誘導の手を目元から離した場所にし、 最終的に誘導がなくても目が合うようにする。

アイコンタクト・誘導の手についてくるが覚えられたら、ヒールポジションの練習を始めましょう!

好奇心で引っ張る子のトレーニング【室内での練習】

好奇心から引っ張る子は、落ち着いて飼い主の横について歩くヒールポジションの練習が大切です。
ヒールポジションの練習は、好奇心を刺激するものが多い屋外で練習を始めるのではなく、見慣れていて落ち着いて練習できる室内から始めましょう。

【室内でのヒールポジショントレーニング】

①ご褒美をあげて、犬の意識を飼い主に向けさせる。

②室内で首輪にリードをつけ、おやつをガジガジさせながら歩かせる。

③できるだけリードはたるませながら、リードでコントロールするのではなく誘導の手でコントロールする。

④人の2~3歩横で歩けたら、すぐにご褒美を与える。
その後、徐々に距離をのばしたり誘導を減らしていく。

⑤『ヒール』や『つけ』など、指示を出しながら横を歩かせる。
(コマンドを覚えさせる)

☆ポイント☆
・おやつはガジガジさせやすい棒状のジャーキー等がおすすめです。
・テンションが上がりやすい子は、壁沿いや廊下などの動きまわるスペースが少なく意識が散漫しづらい場所で行うと効果的です。

室内での詳しいトレーニング方法はこちらをご覧ください。

【トレーニングの所要時間】

犬の集中力は短いため、長くても5分ほどしか維持できません。
起床時・ごはんを食べる前・運動する前など、犬が元気な時に1セット3~5分以内のトレーニングを、1日3回ほど行うと効果的です。

好奇心で引っ張る子のトレーニング【屋外での練習】

屋内で出来るようになってきたら、屋外でも練習を始めましょう。

【屋外でのヒールポジショントレーニング】

①まずは静かな場所で、室内でできているレベルよりも低いレベルで教える。
(例:室内で手の誘導ありで歩ける状態であれば、屋外はおやつをガジガジさせながら誘導するなど少しレベルを下げて練習する)

②屋外でのヒールポジション誘導に慣れてきたらアイコンタクトを取りながら、横を歩かせる。
この時、『ヒール』や『つけ』など、指示を出しながら横を歩かせるとコマンドを覚えさせられる。

③人の2~3歩横を歩けたらご褒美を与える。

④愛犬が自分より少しでも前に出たらそのままUターンを繰り返す。
ついてきたらご褒美を与える。

人の横を歩いている
人より前に出てしまったら…
こっちだよ!とUターンして着いてこさせる
ちゃんと着いてこれたらご褒美を与える!

④ご褒美による誘導で上手に歩けるようになってきたら、ご褒美を持たないでコマンドや手の誘導のみで歩けるようにアイコンタクトを取りながら歩く。

☆ポイント☆
・屋外の練習では、室内で使うご褒美よりも愛犬が好んでいるもの(大好物やにおいが強いもの)を使うと効果的です。
・ヒールポジションの練習は1往復だけでもいいので毎日行うことが重要。
「トレーニングの時間!」と気を張って行うのではなく、遊びの一環として日々行うと覚えやすく、実践しやすいです!

【トレーニングの所要時間】

屋外のトレーニングは、刺激が多い分、室内よりも集中力が必要となります。
お散歩出発前の元気な時などに1セット3~5分以内のトレーニングを、1日2~3回ほど行うと効果的です。

引っ張り防止グッズを使用したトレーニング

室内でのトレーニングの段階でうまく横を歩けない場合、屋外でのトレーニングはなかなか難しくなります。そのような場合は、引っ張り防止対策グッズを使用することにより、前のめりに歩かせないようにします。

引っ張り防止対策グッズ

引っ張り防止対策のグッズは各種ありますが、胸の前にリードを接続する部分がついており、愛犬が引っ張ろうとすると胸のストラップが若干締まって前方へ進みにくくなるハーネスなどがあります。
それぞれの犬にあったグッズを使用して練習することも、引っ張り癖を防止する方法の一つです。

引用元:amazon

自作の引っ張り防止対策グッズ

引っ張り防止対策グッズは自作することもできます。

準備するもの:リード2本

①リードを繋げる

②ナスカンを首輪に繋ぎ、リードを背中側から前足の間に通す。

背面からわきの下を通して前足の間に通す。
前足の間にリードが通っている。

③装着完了!

装着完了図
歩くときは胸側と背側のリードを持って歩く。

リードは両手で1本ずつ持つでも、片手でまとめて持つでも、どちらでも持ちやすい方法で問題ありません。
この時、リードは弛ませて持ち、肘の部分にリードが常にくるように意識しましょう。
この方法を使用することにより、犬の体勢が前のめりになりにくくなるかつ、歩く時に肘にリードが当たって足を前に大きく出しづらくなるため、引っ張り防止の効果が期待されます。

恐怖心で引っ張る子への対処法

怖がってリードを引っ張る犬に対しては、ヒールポジションの練習よりも、恐怖の対象に慣れるトレーニングが必要です。神経質で臆病な性格の犬は、他の犬や人、バイク、自転車、トラックなどを怖がることが多いです。以下の方法で、犬を怖がっている対象物や音に慣れさせていきましょう。

音に慣れる方法

  1. 小さな音から始める
    録音した音を反応しないレベルの小音で流しながら遊び、ご褒美を与えます。
  2. 音量を徐々に上げる
    犬が音に慣れてきたら、少しずつ音量を上げていきます。常に犬がリラックスしていることを確認しながら進めましょう。

乗り物に慣れる方法

  1. 止まっている乗り物の近くで練習
    止まっている車や自転車の横でご褒美を与え、慣れさせます。
  2. 通り過ぎる練習
    犬が落ち着いているときに、乗り物が通り過ぎるのを見せ、リラックスした状態でご褒美を与えます。
  3. 他犬や特定の物が怖い場合
    すれ違う前に犬にお座りをさせ、対象物に背を向ける体勢を取らせます。撫でながら褒めて、ご褒美を与えます。

人に慣れる方法

  • 慣れている人からのご褒美
    家族以外の慣れている人におやつを与えてもらいます。手から与えるのが難しい場合は、器からや床に落として与えてもらいます。

☆ポイント☆
•叱らない
怖がって引っ張る犬を叱ると、恐怖心や警戒心が強くなり、お散歩自体が嫌いになってしまうことがあります。
•楽しくお散歩する
お散歩は運動だけでなく、ストレス発散にもなるため、怖いものではなく楽しいものだと教えてあげましょう。

怖がりの犬には時間と忍耐が必要です。焦らずに少しずつ慣れさせていき、安心してお散歩を楽しめるようにサポートしてあげてください。


引張り癖防止トレーニングまとめ

リードを引っ張る犬への対応には、その行動の背後にある理由を理解することが大切です。好奇心から引っ張る犬には、落ち着いて飼い主の横を歩けるヒールポジションのトレーニングが効果的です。まずは室内での練習から始め、徐々に屋外へとステップアップしましょう。日々の練習を通じて、犬との信頼関係を深めていきます。

一方、恐怖心から引っ張る犬には、怖がっている対象に対する慣れが必要です。音や乗り物、人に対する恐怖を少しずつ和らげるためのトレーニングを行い、犬に安心感を与えてあげましょう。怖がりの犬には時間と忍耐が必要ですので、焦らずに少しずつ進めてください。

どちらの場合も、叱らずにポジティブなアプローチで取り組むことが重要です。お散歩は犬にとって楽しい時間であり、運動やストレス発散のためにも欠かせません。日々の練習を通じて、飼い主さんと愛犬が一緒にお散歩を楽しめるようになることを目指しましょう。

教えてくれた人(この記事の投稿者)

岡野

株式会社レイクウッズガーデン

ニチイ学館の社員犬【ビスケット・ルアー・バニー・オリーブ】の担当トレーナーでした。
自宅では歴代大型犬を飼育し、現在もオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)含む5頭と暮らしています。
休みの日は愛犬と海を散歩したりまったりしたり。
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