みなさんは愛犬の血統書をまじまじと見たことがありますか?なんだかいろいろ書かれているけれど、そこまでじっくりと見たことがない・見てもよくわからないという方も多いと思います。オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を購入した際に渡される血統書とは何なのか?そこで、血統書の意味や目的、見方をニチイ学館社員犬の元担当トレーナーで、自身も10歳のALと暮らす岡野がご紹介します。
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オーストラリアン・ラブラドゥードルの血統書の意義|何のためにある?
血統書の正式名称は、【血統証明書】です。
その始まりは19世紀のイギリス。馬の改良のために特徴を明文化して血統情報を管理しようという概念が生まれました。この登録情報を管理する、という概念が馬の改良に成果を上げたことを機に、当時イギリスで飼育が盛んだった犬にも利用されはじめました。
血統書には本犬・両親・祖父母・曾祖父母と3世代の情報が記載されており、人でいう家系図・戸籍情報となります。
オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の血統書は、日本では、日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)が発行しています。ALAJは、オーストラリア本国のオーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALA)※と連携の上、ALの犬籍登録管理や種の保全、保護育成や啓蒙活動を行う日本で唯一の団体です。
※オーストラリアン・ラブラドゥードル協会 (ALA) :ALを生んだ本国オーストラリアの団体。ALの犬種としての保全、繁殖に関する管理指導を行う。
【ALAJの血統書発行の流れ】
オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)は、6種類の先祖犬の交配と改良を繰り返して誕生した犬種です。しかしながら、ラブラドール×プードルのような単純なかけ合わせではなく、特定の目的をもって長い年月をかけて確立された独自の犬種です。
現在、ALA、ALAJでは、ALの公認犬種としての完全な認知と国際畜犬連盟からの認定を目指しています。この目的のためにも、血統書は極めて重要な役割を担っています。
オーストラリアン・ラブラドゥードルの血統書の目的|何に使うの?
それでは、オーストラリアン・ラブラドゥードル (AL)の血統書は、何のためにあるのでしょうか?ALの血統書には、以下の重要な役割があります。
健全なブリーディング活動継続のため
オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)を独自の犬種として固定化するには、適切な交配相手を選ぶことが重要です。
そのためには血統書のデータを元に、より良いALのブリーディングに適した交配相手を選ぶ必要があります。
交配相手を選ぶ際は、その血統ラインに遺伝性疾患が発生していないかのチェックを行い、もし遺伝性疾患が疑われる場合は、その血統ラインでの同疾患の発生割合等も確認します。状況によってはその血統ラインは繁殖から除外しなければなりません。
除外するラインが発生した場合は、血統をさかのぼり、そのラインと曾祖父母が一緒の場合や、もっと前の親犬が一緒であるなど、関係性の近い血統ラインがあった場合は、その血統ラインにも同疾患が発生していないかを調査します。
このように、遺伝性疾患が発生した際などにすぐ対応できるのは、血統書で厳格に血統管理をしているからであり、血統書は健全なブリーディング活動には、必要不可欠なものとなります。
第三者への血統証明のため
血統書が発行されているということは、オーナーとブリーダーだけでなく、第三者への血統の証明ともなります。例えば、1頭の母犬が何回出産しているかも血統書でわかることから、乱繁殖の対象となっていないことの証明にもなるのです。そういった動物愛護の視点からも血統書が重要な役割を担っていることがわかります。
親族の繋がりを探すため
血統書は愛犬のルーツを知る地図の役割も担っています。
既にご説明したように、血統書を使用して、愛犬の父母・それぞれの祖父母・それぞれの曾祖父母まで辿っていくことができます。それによって思いもよらない親族と出会えることもあるのです。
血統書は、ALAJが主催する「ALオーナーズパーティー※」で家族や兄弟同士の繋がりを探す際にも活躍しています。
※ALオーナーズパーティ:ALAJが主催するAL限定パーティ。
オーストラリアン・ラブラドゥードルの血統書の見方
それでは、ここから、血統書の見方をご説明します。
血統書には本犬の犬籍情報が記載されており、以下の7つのエリアに分かれています。
① 名前
- 本犬登録名
・本犬の登録名で、繁殖者が付けます。犬舎名+その犬個別の名前で構成されます。
例:L.W.Labradoodles(犬舎名)+母犬名 A 本犬名
・母犬名と本犬名の間のアルファベットは、母犬の何回目の子供なのかを示しています。
A: 1回目 B: 2回目 C: 3回目 D: 4回目
➁ 個犬情報
- 犬種
- 性別
- 生年月日
- サイズ
- 毛色
③ 繁殖情報
- グレード
・血統書に記載されているグレードとは、オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALA)が定めたALの世代数を表したものです。ALの世代数とは、望む性質を持つ犬種にたどり着くまでに掛け合わせた世代数を示します。
・ALは、公認犬種としての認定を目指しているため、ブリーディングにおける、グレード(世代数)を適切に管理することが非常に大切なのです。
・現在、レイクウッズラブラドゥードルズのALはALF4~となっております。 ※ALF: ALの世代数
※参考:グレーディングスキーム
【グレーディングスキーム】
- マイクロチップ番号・登録番号
・AL+数字6桁のALAJ独自の番号で構成されています。
・6桁の数字は生まれたALがALAJに登録された順番です。
・英数字13桁、または2種類の番号が併記されている場合もあります。 - 繁殖者(ブリーダー)
④ 所有者情報
- 所有者
本犬のオーナー様の氏名が記載されます。 - 譲渡日
- 発行日
⑤ 父方の家系図
⑥ 母方の家系図
父、母・それぞれの祖父母・それぞれの曾祖父母と3世代分の下記情報が記載されています。 【登録名・犬種・毛色・サイズ・マイクロチップ番号・生年月日】
⑦ 発行番号
ALAJが発行した血統書に付与される番号で、通し番号となっています。
オーストラリアン・ラブラドゥードルの血統書 登録内容変更・再発行手続き
血統書の登録内容を変更する場合や、血統書の再発行が必要な場合の手続きは、以下のとおりです。
所有者(オーナー)の名義変更
ALのオーナー名義を変更する場合は、ALAJ公式HPより「登録内容変更届出書 」をダウンロードし、必要事項を記入後ALAJに提出します。登録変更には手数料2200円(税込)が発生します。
カラーの変更
中には成長するにつれて、登録時のカラーから変化する子もいます。希少カラーのカフェ・シルバー・ブルー・ラベンダー・パーチメントに変化した場合、血統書に登録されているカラーを変更することができます。登録した毛色を変更するには、認定ブリーダーに対象ALの毛色を直接、もしくは写真にて確認してもらい、毛色の変化の確認ができたら、認定ブリーダーからALAJに生体登録内容の変更を依頼します。登録変更には手数料1100円(税込)が発生します。
血統書の再発行
血統書を紛失、破損した場合は、再発行が可能です。ALAJ公式HPより「登録証明書・血統書 再発行申請書」をダウンロードし、必要事項(※事項にて説明)を記入後ALAJに提出します。再発行には手数料 3300円(税込)が発生します。
ALの血統書を解説!意義・目的・見方
今回は血統書の意義・その見方を紹介いたしました。
血統書は公認犬種としての犬種登録を目指し、種の固定化を目指すALにとって、とても重要なものです。
また、血統書を元に愛犬の家族を探して、オーナー同士の繋がりがもてるのは、希少な犬種のALだからこそできることと思います。
これからも血統書を基に、健全かつ厳格なALの繁殖が進み、将来的にオーストラリアン・ラブラドゥードルが公認犬種として認められる日が来ることを願っています。
※ニチイ学館の犬の繁殖・販売事業、グルーミング事業は、2024年3月1日を以て、レイクウッズガーデンへ承継されました。