オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)は、「抜け毛が少ない犬種」と言われています。抜け毛が少ないというと、お手入れが簡単そうに思えますが、実は抜け毛の手間がない分、トリミングやお手入れは少し手間と費用がかかります。ここでは、基本的なトリミングやお手入れの必要性を理解しながら、手間や費用をみていきましょう。普段から多くのオーストラリアン・ラブラドゥードルが訪れるトリミングサロンFeelGardenで店長をしている、トリマー歴13年の沢村がALならではのお手入れ情報をご紹介します。
Contents
まずはオーストラリアン・ラブラドゥードル毛質の特徴について理解しよう!
トリミングやお手入れの必要性をお話する前に、知っておいていただきたいオーストラリアン・ラブラドゥードル (AL)の毛質と毛玉についてお話します。
オーストラリアン・ラブラドゥードルの毛質について
オーストラリアン・ラブラドゥードル (AL) の毛質には、主にフリースとウールの2種類があります。
フリース (Fleece)の特徴
フリースは、とても毛が細くやわらかくサラサラの毛質です。ALと言えば、フリースといわれるほど代表的な毛質になります。そのため、フルコート(被毛をカットせずに長くし、量も十分にある状態のこと)を目指す方が多くいます。
ウール (Wool)の特徴
ウールは、プードルの毛質によく似ています。サラサラな毛質のフリースとは異なり、クルクルとした巻き毛で、触るとふわふわの撫で心地で、思わず抱きしめたくなるような毛質となります。毛質がしっかりしているため、様々な形のカットに挑戦ができます。
このような毛質のため、見た目が愛らしく、触り心地の良いAL。けれども、フリースは、フルコートや毛を長めにする場合が多く、またウールはまき毛であるため、総じて「毛玉ができやすい犬種」「毛がもつれやすい犬種」となります。
そのため、オーナー様が行う毎日のお手入れや、定期的なトリミングは非常に重要なケアになってきます。
毛玉について
初めてオーストラリアン・ラブラドゥードル (AL) を飼育される方は、毛玉に気づかない場合があるようです。
毛玉とは、毛がもつれて玉になった状態を言います。1cm以下の小さな物から、フェルト生地のような大きさになる場合もあります。毛玉ができると、毛玉によって皮膚が突っ張られてしまったり、ひどい時は突っ張りによって皮膚が赤くなってしまったりすることがあります。
人間で言うと、ずっと髪を縛られた状態や髪がもつれた状態です。それが脇の下などの関節にあたる部分にできてしまった状況を想像してみてください。非常に煩わしいことが理解いただけると思います。
毛玉はそれだけワンちゃんにストレスを与えるものなのです。チェックの方法は、毛の根元にコームをあてて、スムーズにコームが通るか?です。
オーストラリアン・ラブラドゥードル 欠かせない日々のお手入れ:ブラッシング
毛玉ができやすいオーストラリアン・ラブラドゥードル (AL)。ふわふわ、もこもこを保つには、ブラッシング、シャンプーそして、トリミングが不可欠です。
ブラッシングについて
ブラッシングは、飼い主さんとワンちゃんの毎日のコミュニケーションタイムでもあります。ただ、ブラッシングは苦手なワンちゃんも多いので、無理をしないよう、ご褒美などを準備したりして、ワンちゃんにとって楽しい時間にしていきましょう。
ブラッシングの方法
まず、毛の根元 (皮膚) が見えるように毛をかき分けてください。それからスリッカーブラシを使って、毛の根元からやさしく、ブラシの先が強く皮膚にあたらないように毛をとかしてください。
毛玉がない場合は、スムーズにスリッカーブラシが動きますが、引っかかったり抵抗があったりする場合は、毛玉がある可能性があります。ここで無理をすると、ワンちゃんに痛みを与えてしまい、ブラッシング嫌いになってしまうので、無理はしないように毛玉を取ってあげましょう。
特に毛玉のできやすい箇所は、「脇の下・耳の付け根・内股」など、外から見ただけでは、わからない部分です。
トリミングサロンで、毛玉を取る作業や時間は、ワンちゃんにとっても負担となってしまいます。また、オーナー様にとっても、毛玉取りの追加料金という負担が増えることになります。毎日こまめにブラッシングを行うことをおすすめします。
毛玉の取り方
毛玉の取り方ですが、スリッカーの動きが悪い場合は、毛玉ができている可能性があります。
大きさ(5mm~)の毛玉がある場合は、無理にとかさずに、毛玉と皮膚の間に指を支えるようにし、自分の指にスリッカーを当てるようにとかすと、皮膚に負担なく毛玉をほぐすことができます。
それでも無理な場合は、マットブレーカーを使って、毛の根元を抑えて、ワンちゃんが痛がらないように、ほどいてあげてください (マットブレーカーのみでほぐしてしまうと毛量が減ってしまうため、スリッカーで少しほぐしてから使用してください)。
最後に、コームの荒い目の部分で毛をとかし、問題なければ、今度はコームの細い目の部分でとかします。コームの細い目で毛をとかすことで、小さな毛玉も見逃しません。コームを通したときに、毛玉を確認したときは、再度スリッカーブラシで毛玉をほぐす作業に戻り、再度コームで確認をします。小さな毛玉等もないことが確認できたら、ブラッシングは完了です。
オーストラリアン・ラブラドゥードル 欠かせない日々のお手入れ:シャンプーとトリミング
オーストラリアン・ラブラドゥードル (AL)は皮脂の少ない犬種で臭いも少ないですが、人が触れると、人の皮脂が毛についてしまいます。特に、もこもこに毛を伸ばしていると、オーナー様も近所のお友達もついたくさん触ってしまうことでしょう。
さらに毎日の散歩では、もこもこの毛に、静電気などの影響もあり、ほこりや、汚れがついてしまいます。そのため、ALはブラッシングも重要ですが、定期的なシャンプーやトリミングが不可欠です。
シャンプーについて
綺麗に見えても、どうしても汚れがついてしまうので、3週間~1カ月に1回はシャンプーをすることをおすすめします。
汚れやほこりは、べたつきにつながり、毛玉を作ってしまう原因にもなります。定期的なシャンプーはベタつきを抑え、毛玉ができにくくする効果もあります。
たまに、自宅でのシャンプーにチャレンジされる方がいますが、失敗すると乾かし不足で大量の毛玉を作ってしまったり、シャンプーが合わず思わぬ皮膚トラブルにつながったりするケースもあるので、トリミングサロンでシャンプーしてもらうのがおすすめです。
トリミングサロンでは、豊富な種類のシャンプーやトリートメントが準備されており、プロが、その子にあったやり方で施術してくれるので安心です。
トリミングについて
オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)は、毛が抜けにくい分、毛が長くなりやすく、毛先が傷んだりもします。毛を伸ばしっぱなしにしていると、足の裏の毛が伸びて動きづらくなる、毛が眼に入って目が赤くなる、耳の中の毛が伸び蒸れて外耳炎になるなどデメリットが沢山あります。
3週間(多い場合)~2ヵ月に1回は体全体のトリミングをすることをおすすめします。
傷んだ毛先を整えたり、汚れがちな口周りを綺麗に整えたり、股の周りも毛が伸びると汚れやすいので整えてもらいましょう。そしてなによりも、定期的なトリミングによって、プロのトリマーに体の隅々まで見てもらうことで、皮膚の異常などを発見することができます。
大切な愛犬ため、美容面、健康面、衛生面から定期的にトリミングを行いましょう。
オーストラリアン・ラブラドゥードルのトリミング 頻度や費用は?
ワンちゃんが気持ち良く過ごせるように、欠かせないトリミング。では、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)にとって、理想的なトリミングの頻度やかかる費用は?
おすすめの方法は、3週間に1回の頻度で、サロンでシャンプーとトリミングを交互に行うことです。
少し多く感じるかもしれませんが、シャンプーやトリミングを行うまでの期間が必要以上に空いてしまうと、久しぶりに来店した際に、毛玉料金などが多く発生し、結局一度の料金が高額でかかってしまうことになるからです。
トリミングの頻度と費用
トリミングにかかる費用は、メニューの組み合わせ方や頻度によって異なります。私の勤務先であるFeel Gardenを参考にご紹介します。※料金はサロンによって異なります。
例えば、約半年間 (27週間)にかかる費用をケース別でみるとこんな感じになります。
(例)大きさ:ミニチュアで毛を長めにカット(ふわふわ、もこもこを維持する場合)
①3週間に1回トリミング | 27週間÷3週間=9回 9回×16,000円=144,000円 |
②3週間おき、交互にシャンプーとトリミング | シャンプー5回×9,900円+トリミング4回×16,000円=113,500円 |
③約3週間に1回シャンプーと2ヵ月に1回トリミング | トリミング3回×16,000円+シャンプー3回×9,900円+クイックシャンプー3回×7,700=100,800円 |
④1カ月に1回シャンプーと2ヵ月に1回トリミング | トリミング3回×16,000円+シャンプー3回×9,900円=77,700円 |
トリミング費用の考え方
オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)のトリミングは、費用も手間もかかるなぁと思われた方も多いのではないでしょうか。けれども、実は考え方次第なのです。
結論からいうと、多くの方が理想とされているふわふわ、もこもこのオーストラリアン・ラブラドゥードルを実現したいのであれば、手間も費用もかかるということです。
実は、本場オーストラリアでは、犬への負担も考慮し、体の毛は基本的にバリカンで短く切ります。
日本でも、ALと一緒にアクティブに過ごされる方(ウォータースポーツやハイキングなど)は、愛犬の体の毛を短くしている方も沢山いらっしゃいます。そうすることで、お手入れも楽になりますし、サロンによっては全身バリカンの場合は、安価でサービスを提供しているところもあります。また、オーナー様の中には道具をある程度揃えられ、ご自分でシャンプーなどをされる方もいらっしゃいます。
要するに、オーストラリアン・ラブラドゥードルにお金がかかるわけではなく、オーナー様の理想の実現にお金と時間がかかると考えていただくと分かりやすいと思います。
オーストラリアン・ラブラドゥードル 季節ごとのトリミングの工夫について
最後に、オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)の夏と冬、それぞれの季節に適したお手入れ方法をご紹介します。
AL夏のお手入れ方法について
夏は、愛犬をできるだけ涼しくしてあげることが大切です。
暑い夏に愛犬を涼しくしてあげるには、「見えない部分の被毛」を短くしてあげることが、一番の方法となります。
「見えない部分の被毛ってどこのこと?」と疑問に思う方もいると思いますが、見えない部分というのは、毛玉ができやすい「脇・お腹・内股」のことです。
例えば、脇には血管が集まっているため、バリカンで短く刈ってあげると、伏せた時などに脇の血管が冷えるため、暑い夏も涼しく過ごせます。お腹や内股も同様で、毛を3ミリ~5ミリほどに短くするのが、おすすめでお手入れもしやすくなると思います。
夏にプールなどで水遊びが好きな子で高い頻度でプールなどにいかれる場合は、思い切って短めにカットするのもおすすめです。水遊びのあと毎回シャンプーとドライヤーをするのは大変ですし、飼い主さんにもワンちゃんにもストレスになってしまったら、せっかくの楽しい思い出が台無しになってしまうかもしれません。
AL冬のお手入れ方法について
既にお伝えしたとおり、毛を長く伸ばすのであれば、毎日のブラッシングは欠かせません。
しかし冬場は、ブラッシングをすることで、毛に静電気が発生してしまいます。ブラッシングの際の静電気防止策には、ブラッシングミストの使用がおすすめです。
また、お散歩に行くと、毛の静電気によって足先が黒くなってしまったり、落ち葉が毛に絡んでしまったりと、汚れも気になる季節となります。できるだけ足先を汚さないためには、犬用のシューズを履いたり、足先の毛をバリカンで短くする事をおすすめします。
「足先の毛をバリカンするスタイルは、ちょっとなあ・・・。」と思う方もいると思いますが、そんな時は、バリカンをした足先に、上から毛をかぶせて隠してあげるようなカットをすることもできます。そうすれば、気にならなくなりますね。
このように、季節によってカットスタイルを変えてあげることで、お手入れのしやすさにつながり、「愛犬にできる優しさ」となります。
トリミングとお手入れ まとめ
オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)のトリミングや日々のお手入れについてご紹介しました。
ブラッシングは毎日行い、定期的にトリミングをし、綺麗な毛を保てるように、そして気持ちよく過ごせるようにお手入れをしてあげてください。
また、ALのシャンプーやトリミングなどでお悩みの方は、千葉県流山市にある「DOG SALON & HOTEL Feel Garden」までご相談ください。 ご来店を心よりお待ちしております。
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※ニチイ学館の犬の繁殖・販売事業、グルーミング事業は、2024年3月1日を以て、レイクウッズガーデンへ承継されました。