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ALと過ごす冬 もふもふなのに寒がり|ALの寒さ対策

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寒い冬。寒さが苦手な人にはつらい季節ですね。ワンちゃんは寒さに強いイメージがありますが、実は犬種によって、寒さに強い犬、弱い犬がいます。オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)はどちらかといえば寒さに弱い方の犬種ということを知っていますか?そこで、そんなALが少しでも快適な冬を過ごせるよう、寒さ対策や気をつけるべきポイントをニチイ学館社員犬の元担当トレーナで、自身も10歳のALと暮らす岡野がご紹介します。

寒さに強い犬種、弱い犬種を分けるのはコートの違い

犬には寒さに強い犬種と弱い犬種がいます。その違いは毛の構造です。犬の被毛には、ダブルコートとシングルコートがあります。

ダブルコートの犬の被毛は、太くてしっかりと皮膚を保護する役割のある上毛(トップコート)と、もこもことした綿毛のような柔らかい保温保湿の役割のある下毛(アンダーコート)の二重構造になっています。そのため、寒さにも強いと言えます。ハスキーやポメラニアン、柴犬などがこれにあたります。よくALと比較されるラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーもダブルコートです。

一方、プードルやヨークシャーテリアなど、被毛がトップコートのみの一重構造のシングルコートの場合は、ダブルコートに比べると保温性が低く寒さに弱い犬種といえます。

しかし、ダブルコートの犬種でも、暖かい地域原産の毛が短い犬種や、エアコンの効いた温度変化の少ない環境でずっと過ごしている子は、毛の生え変わりがうまくいかず、寒さに弱くなってしまっている場合もあります。

ALは、ふわもこで毛量も多く、一見、寒さに強そうに見えますよね。けれども、実はトップコートしかないシングルコートの犬種なのです。しかも、長く室内犬として生活してきため、寒さに強くないのです。

ワンちゃんが寒い時のサインは?

トップコートしかないALは、冬の寒い風に当たり続けたり、室内でも冷えるところに居続けたりすると、体が冷えてしまいます。その結果、免疫が下がり病気になりやすくなったり、おなかを崩してしまったりと、体調を崩してしまうことになります。

特に、短めのカットにしている子やパピー、シニア犬は、体が冷えやすいので注意しましょう。

<ワンちゃんが寒がっている時のサイン>
お部屋の中で、こんな様子が見られたら寒がっている可能性あり!

  • 小さく丸まり、縮こまっている
  • いつも以上によく寝る
  • 外に行きたがらない
  • 水をあまり飲まない
  • おなかが緩い
  • トイレが近い

また、散歩から帰った後、肉球がとても冷えていることはありませんか?それも体が冷えている証拠。暖かな部屋で体を暖めてあげましょう。

ワンちゃんの寒さ対策 1. おうちの中を冬仕様にして快適に!

まずは、長い時間を過ごすおうちの中の環境を整えてあげましょう。犬が快適だと思える冬場の室内環境は人が快適に過ごせる環境と同じ。室温20℃~25℃、湿度40%~60%です

室温だけでなく湿度にも気を付けるのは、湿度が低いと、乾燥によって皮膚や気管支に影響を与えてしまうからです。室内を快適な環境に整えるためには、適切に暖房機器や加湿器を使っていきましょう。

お部屋を暖かくする暖房機器のおすすめ順

ワンちゃんにとって安全かつ快適な室内にするには、暖房機器の使い方にも気を付けなければなりません。以下、おすすめの暖房機器順に注意点をご説明します。

エアコン

エアコンは火傷の危険がなく安心ですが、温かな空気は部屋の上部にたまる性質があります。人が過ごす高さは暖かくても、ワンちゃんがいる床付近までは暖かくなっていないこともあるのです。サーキュレーターを使用するなどして暖かい空気を循環させ、床まで暖かさが行き届くよう工夫してあげましょう。

ペット用ホットカーペット

ホットカーペットは床の冷たさから体を守ってくれて快適。けれども、温まりすぎてしまうことも。暑かったら涼しいところへ自由に移動できるよう、クレートの中ではなく、サークルの中に設置してあげましょう。

ストーブ

ストーブはすぐに部屋が温まって良いのですが、犬は被毛があるために熱が直接皮膚に伝わりにくく、温風に当たり続けた結果、皮膚が低温火傷してしまうことがあります。また、温風によって、皮膚の乾燥が進み、かゆみやふけなどの皮膚トラブルの原因になることも。

ストーブを使用する際は、上記のような火傷や皮膚トラブルを防ぐために、また火災を防ぐためにも、ストーブガードを使用して、人がいる時のみ使用することをおすすめします。

部屋の暖め過ぎに注意

但し、暖房機器を使用する場合は、部屋の暖め過ぎにも注意。

ワンちゃんが、運動の直後でもないのに舌を出し「ハアハア」とあえぐような荒い口呼吸をしていたら、部屋の暖め過ぎの可能性があります。過剰に暖めすぎないよう、バランスをとってあげることが大切です。

暖房機器以外では、床からの冷気を防ぐのにふかふかなベッドやブランケットを用意してあげても良いでしょう。

お留守番のときの環境

お部屋の間取りにもよると思いますが、お留守番中もエアコンやホットカーペットなどの暖房機器や加湿器等を使用して、室内を快適な環境に整えてあげましょう。

お出かけ時にエアコンをつけていく場合は、弱運転で温度が上がりすぎないように調整し、サーキュレーターで温かな空気が室内を循環するようにしましょう。日中は日当たりがよく室温が保てる場合などは、気温が下がる夕方にエアコンが運転開始するようにタイマーをセットしても良いでしょう。

お留守番時は、脱水を防ぐためにも新鮮な水がいつでも飲めるようにしておくことも必要です。

ワンちゃんの寒さ対策 2. ワンちゃんを暖かく装備

お部屋を快適に暖かくしても、お散歩に行く時などは寒いまま。お外に行くときは、ワンちゃん自身の身体が暖かくなるようにしてあげましょう!

被毛を伸ばしてロングコートに!

ALはカットせずにフルコートにすると毛量のあるふわもこな姿に変身しますよね。フルコートまではいかずとも、冬場の寒い時期はお手入れを頑張って、普段よりは長めのコートを維持してあげると、体を覆う被毛の量が増えて暖かさが増します。

カットによるALならではの見た目の変化を楽しみつつ、季節に合わせて夏は短め、冬は長めと、調整するのも良いと思います。

洋服を着用させる

シニア犬やパピーでロングコートにすることが難しいワンちゃんは、洋服を着させて直接体を温めてあげるのが良いかもしれません。

冬用のドッグウェアにはダウンベストやコートなど、サクッと着られて暖かい洋服もあります。ピタッとした体にまとわりつく洋服よりは、被毛との摩擦も減り、毛玉の発生も抑えられます。

でも、ワンちゃんによっては洋服が苦手な子もいますよね。また、洋服を着させることによる毛玉を避けたいというオーナー様もいらっしゃると思います。

そういった場合には、大切なおなかを温める為に腹巻を使用することをおすすめします。腹巻であれば腹部だけを覆うので、体の大部分はそのまま。比較的毛玉もできにくいでしょう。腹巻は犬用のものもありますし、子供用の腹巻や人間用のネックウォーマーを代用してもOKです。

お洋服着用時の注意点

洋服にしても腹巻にしても、ALの柔らかな被毛は絡まりやすいため、ずっと着せたままにすると毛玉の原因になります。

冬の寒さ対策のための洋服は、屋外での使用を中心にすることで、着せっぱなしを防ぎ、外から戻ったらまずは洋服を脱ぐことが大切。そして、『わきの下・後脚の付け根・前脚の間』などの毛玉のできやすい部分を中心に、軽くブラッシングをしてあげると、屋外と室内の温度差も緩やかになり毛玉も防げます。

寒さ対策注意点 1. 急激な温度差が引き起こすヒートショック

部屋が暖かく快適に整えると、屋外との温度差が大きくなります。この室内外の温度差はワンちゃんの体にも負担を与え注意しなければなりません。特にまだ体が発達しきっていないパピーやシニア犬、持病を持っている子は注意してあげたいです。

ヒートショックとは?

温かな室内からいきなり冷たい外気に触れたり、またその逆で冷たい外気からいきなり温かな室内に移動したりした際に、突然の温度差によって血圧が大きく変動し、ヒートショックといわれる症状を起こすことがあります。

ヒートショックを起こしたらこんな症状が現れるので注意!

<ヒートショックの主な症状>※軽症~重症

  • 下痢、嘔吐
  • 体の震えやふらつき
  • 倒れるなどの意識障害

最悪は心不全など、重大な症状が出る場合もありえます。

ヒートショック防止策と起きた場合の対応

温度差の激しい室内外の行き来をする際は、ヒートショックが起こらないよう注意してあげましょう。

ヒートショック防止策の基本は、「いきなり」を避けること。暖かい室内から寒い室外へ、寒い室外から暖かい室内へ移動する時は、徐々に寒さや暖かさにならすことが大切です。

例えば、いきなり寒い室外に出ず、玄関や廊下でまず体を寒さに慣らす。お散歩から帰ってきた時は、玄関で一息つき、体を撫でてあげたりしてワンちゃんを温めてから室内に戻りましょう。

ヒートショックは気温差10度前後が一番起こりやすく、命にかかわることがあります。

万が一、ヒートショックと思われる症状が出た場合は、体がショック状態に陥っているので、すぐに動物病院で診察を受ける必要があります。

寒さ対策注意点 2. 水分不足にも注意

寒い冬は水分の取り方が不十分になる子もいて、泌尿器科系のトラブルも起こりやすくなります。摂取水分量が減ると、膀胱炎や尿石症を発症したり、腎臓にまで影響を与えたりすることもあります。

冬場は愛犬が水を飲めているか、いつも以上に意識的に確認すると良いでしょう。「いつもよりお水を飲んでないな」と思った時は次のような対策があります。

ワンちゃんの水分補給対策

<ワンちゃんの水分補給対策>

  • 部屋の中の水飲み場を増やす
  • ドライフードをふやかしたり、スープをかけるなど、食事で水分量を増やす

できればぺろぺろと舐めるノズルタイプの給水機より、飲み口がお皿状になっているタイプや、水飲み皿の方が飲む量が増えます。水飲み皿の水を変える頻度をあげるのが大変な方は、循環式の自動給水機もおすすめです。

お皿タイプ給水機
引用元:リッチェル
循環型自動給水機
引用元:うちのこエレクトリック

お口周りのケアも忘れずに

食事の水分量を増やすために、ドライフードをふやかしたり、スープをかけたりする場合は、食べる時に、口周りや顎下などが汚れてしまいます。食後は口周りを拭いてあげるなど、ケアも忘れずに。

また、ドライフードだけに比べて口腔内にフードが残りやすいため、歯磨きも気を付けてあげましょう。

ALの寒さ対策 まとめ

ALはもふもふだけれど寒がり。そんなALが快適な冬を過ごせるよう、寒さ対策や気をつけるべきポイントをご紹介しました。

人と同じように、ワンちゃんも寒いと免疫が下がり体調を崩してしまいます。けれども、ワンちゃんは何も言えません。

寒がっていないか、充分な水分が取れているか、ちょっとしたサインも見逃さず注意して、ケアしてあげてください。

ALと一緒に、快適な冬を過ごせますように!


※ニチイ学館の犬の繁殖・販売事業、グルーミング事業は、2024年3月1日を以て、レイクウッズガーデンへ承継されました。

教えてくれた人(この記事の投稿者)

岡野

株式会社レイクウッズガーデン

ニチイ学館の社員犬【ビスケット・ルアー・バニー・オリーブ】の担当トレーナーでした。
自宅では歴代大型犬を飼育し、現在もオーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)含む5頭と暮らしています。
休みの日は愛犬と海を散歩したりまったりしたり。
ALとの素敵な生活を提案いたします!

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